幽々子、いるかしら?あら、紫ではないの
何かあった?
幽々子は縁側でお茶を啜っていた
私は何気なく幽々子の隣に座ると、幽々子と話し始めた貴女、確か彼と付き合いはじめたのよね?
結婚式はしないの?結婚式ねえ…
正直、あまり考えていないわー
彼は知らないけれど、私は今で充分幸せなのよ
式など挙げず、ひっそりとこの幸せを噛みしめたいの
なるほど、幽々子らしい
しかしそれでは、私の計画に大きな支障をきたす
私としては、結婚式を挙げてもらいたいのだ
もっとも、幽々子が子供を欲しがっていれば、だが
これについては以前私にお願いをしてきたし、次に私が言う一言でも分かるだろうそれは勿体ないわね
自分達の幸せは自分達で創る
結婚式なんてその第一歩じゃない
折角だし、その一歩を踏み出たら?
そうすれば二歩目も歩けるかもしれないわよ…なるほどねー
それでは聞くけれど、私達が一歩を踏み出すには、一体どこで結婚式を挙げたら良いのかしら?
案の定、幽々子は食い付いてきた
「自分達の幸せは自分達で創る」
これは私が幽々子から「子供が欲しい」とお願いされたときに言った言葉だ
この一言で幽々子は私の意図を察したのだろう
相変わらず聡くて助かるまずは勿論博麗神社ね
あの巫女は何だかんだ言って結構世話好きだし、それに沢山のお金が入る可能性があるイベントだもの
きっと多少の無理をしてでも自分のところでしようとするわ
次に守矢神社守矢?
結構難しいのではないかしら?
そうでもないと思うわよ
あそこには強大な力を持つ二柱の神がいる
きっと可愛い風祝のため、力を貸してくれることでしょうなるほど
確かにあの神様達ならいけるかもね
後の候補としては、命蓮寺、紅魔館と言ったところかしら?
紅魔館以外は大当たりだ
しかしながら、幽々子の考えは私の計画とは違う
恐らく幽々子はこう考えている
博麗神社は打出の小槌の力で、守矢神社は二柱の神と奇跡の力で、命蓮寺は住職と魔界の力で、紅魔館は運命を操る吸血鬼の力で、それぞれ子供を授かるのだろうと
残念ながら、それらは外れだ
もっとも、私がそう考えるように誘導したのだが
それらの方法では、妊娠は出来ても出産までいけるかは分からない上、その子供がどうなるかの検討がつかない
だが、幽々子にはこう考えてもらっていたほうが都合が良い
本当の計画を知ってもらうためには、西行妖の話をしなければならない
それは避けたかった察しが良くて助かるわ
その通りよ
他にも永遠亭とかもあるけれどう…
流石にそこのお世話にはなりたくないわー
天敵にあまり恩を作りたくないし
私としてはお世話になりたかったが、幽々子がこう答えることも想定の内なので、そこまで落胆はしなかった
これについては私自ら接触しよう
あの薬師には何かを勘付かれるかもしれないが、そもそも向こうは幽々子の過去についての情報を持っていない
私の計画を知ることなど出来ない
仮に知ったとしても、あの薬師は恐らく動かないだろう
蓬莱人と閻魔の仲は悪いのだからでしょうね
それならその4つから決めなさい
あと、一つ言っておかないといけないんだけど
どれも確実性には欠けるわ
後は貴女達の想いだと思うわよ仮にも妖怪賢者が想いなんて…
そういうの信じなさそうなのに
私の言う想いとは、簡単に言ってしまえば愛し合う行為そのものだ
計画が成功した場合幽々子は蘇るのだが、いつまでもそのままでいるわけにはいかない
西行妖、閻魔、1000年の時の3つの問題があるためだ
私の考えでは、2年も時間を取れれば上出来だろう
しかし、人間は受精から出産までおよそ9ヶ月を使う
それを計算に入れると、あまり悠長に待ってはいられない
それこそ、どれだけ愛し合うことが出来るかだろう信じないわよ
でも、彼の想いで貴女は変わった
それは真実でしょう?でもねー…
まあ、ありがとう
結婚式、挙げてみようと思うわ
それにしても…
何?自分達の未来は自分達で作れと言っておきながら、なかなかお節介焼きね
私は助言をしただけ
実行するか、別の幸せを求めるか、現状で満足するか
どれを選ぶかは結局貴女達よふふ、そうねー
紫、ありがとう
彼女の笑み、そして「ありがとう」という言葉に、内心焦りが生じた
彼女はよく、「どこまで知っているのか分からない」と言われるが、それは私についても同じことで、たまにすべてを見透かされているように思ってしまう
もしかしたら、彼女はすべてを知っているのではないのか
自分の生前、西行妖と自分の関係、何故亡霊のままでいるのか
そして、今回私が企てていることも
彼女の「ありがとう」は、それら全てを知った上での言葉ではないのか
そう考えてしまうが、それは有り得ないはずだ
私は努めて平静に、どういたしましてと言い、幽々子と別れた結婚式の形式決定裏