真っ先に視界に入ったのは黒。そう、真っ黒い羽根であった。またも天狗か? いや、文とはたては弾幕ごっこに夢中であり、とてもそのようには思えない。

お空「だいじょーぶ?」

緑色のリボンを頭につけた彼女はカラスはカラスでも地獄のカラスであった。お空が助けてくれたのか……。

貴方「危ないところだったよ。何かお礼をしたいな」
お空「それじゃあいっぱいナデナデしてよ」

地上に降り立つと目いっぱい彼女の頭や羽を撫でてあげた。気持ちよさそうに「うにゅー」と声を漏らすとまるで猫のようにじゃれついてきた。

羽は暖かくてモフモフでとても心地よい。「こっちもー」と蕩けた声で俺の手をお空自らの顎に当てる。こうしていると鳥というよりかは完全に猫である。すっかり力の抜けた彼女はそのまま俺の方にもたれかかって来た。うむ、文よりボリュームが……って違うっ!

眠りそうなお空を小突いて起こすと、元の席に戻そうとした。

貴方「それよりどうして助けてくれたんだ? あんなに都合よく空で偶然バッタリだなんて不自然だし」
お空「うん、さとり様がね……えーとどうしてだっけ? まあいいや、イイコトしたんだからもっとナデナデ~」

そこ忘れちゃ駄目だろ! しかし困った……。これでは身動きが取れないぞ。

そうやってこの場で手をこまねいていると騒がしいテーブルから抜け出したのか、薄ピンク髪の少女が少し頬を赤く染めてやって来た。

さとり「空で天狗がうるさいから弾幕を止めさせるようにとお願いしたはずですが……何をしているのです?」

お空「何って、ナデナデだよ。さとり様もしてもらう? 気持ちいいんだよ」

ゴロゴロと俺に体をこすりつけながら自らの飼い主を誘う地獄カラス。そんな羽の生えた彼女を胸の「第三の目」で凝視しているのが分かる。恐らくお空の心を読んでいるのだろう。

さとり「ダメね。完全に本来の目的を忘れているわ」

やれやれと首を振るさとりであったが、不意にお空の手が彼女の小柄な体を捉える。そのことに気が付いたころには既に遅し。すぐに引っ張り出されるお空の腕。さとりはバランスを崩して転倒しそうになる。

貴方「危ないっ!」

アルコールも入っており判断力も鈍っているこの状態だ。あのままだと転んで頭を打っていたかもしれない。そうなる前に俺が取った行動は……彼女を支えることであった。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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