そう、あくまでお空は飼い主を愛するペットである。そこには一片の悪意もなかったはずだ。それゆえにサトリ妖怪は自らのペットの手が伸びようとしていることに全然気が付けなかったのだろう。あと酔っ払っていたのもあったのかもしれない。
このままでは怪我をしてしまうと俺は小柄な彼女を支えたのだ。小柄な体はとても軽く途中でバランスを崩すことはない。ぽふっと彼女を受け止めるとアルコールの匂いに混じって一瞬良い香りが漂った気がした。
当の仕掛け人であるお空は自らの望んだとおりに事が運んで満面の笑みを浮かべていた。その上で二人めがけて思い切り抱き付いてくる。
お空「さとり様も○○もだーいすき!」
さとり「ちょ、ちょっと!」
「わーい♪」とはしゃぎながら、お空は俺が支えるさとりに抱き着く。ペットと男に挟まれて困惑するサトリ妖怪。身動きが制限される中きょろきょろと周囲を見回していた。
さとり「お空、そんなにハグされたら出られないわ。私はもう大丈夫だから起き上がらせて頂戴……って聞いてる?」
お空「あ、でもどっちの方が好きかなぁ? さとり様ももちろんだけど、○○も優しいし……。うにゅー、順番なんて決められないよぉ」
断言しよう、コイツ話全然聞いてない。それにしても少女二人にこんな密着されたら暑い……。精神的な意味での興奮はもちろんのこと、物理的にもなかなか。何せ保温性抜群そうな鳥の羽を持った少女もいるのだから。タラリと額から汗が垂れる。だが、一番の被害者はサンドイッチにされている……
さとり「うう、アルコールの影響もあるけど暑すぎるわ」
暑さにやられたか、サトリ妖怪がぐったりし始めた。まずい、これは避難所(白蓮の卓)に連れて行かないといけないかもしれな……
お空「うーん、私にそんな残酷なことはできないわ。いっそ○○がさとり様と一緒に暮せば問題ないね! うん、そうしなよ!」
さとり「んなっ……///」
小さな体躯が唐突にビクンと震えるのが俺にも伝わってきた。俺はサトリ妖怪じゃないから心は読めないが、おそらくお空は何の他意もなく無垢な笑みを浮かべてそう口にしているだけだろう。だが、「一緒に暮す」その言葉が暗に示していることは……
さとり「ななな、私と……○○さんが!? そんなこといきなり言われても……言われても……/// まあそれも悪くはありませんが……」
おいおい、こっちもなんか様子がおかしいぞ? ふにゃっと俺にもたれかかるようにする。が、混乱しきっている第三の目がこちらを覗くとまた理性を取り戻したようだ。
さとり「いけないいけない! お空、無暗にそういう事を言うものではありません。彼には守るべき『彼女』がいるのです」
すっくと立ち上がると、そのままお空を連れてさとりは立ち去る。だが、少し離れた場所でさとりは自らに「第三の目」を向けて自問自答しているようだ。
さとり「あの時抱いた私の感情は本物。でも、それは抱いてはいけないもの……」
ちょっと様子が気になるが、一人で考えさせた方がいいだろう。俺はこの場を後にして再び見回りを行うことにした。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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