さて、鬼に説教されるわ天狗にさらわれそうになるわ地霊殿に婿入りさせられそうになるわとかなり絡まれてしまった。やはり俺一人で見回るのは無理があったのだろうか。
そう不安になっていると。間抜けな悲鳴というか泣き叫ぶ声が聞こえてきた。何事かと思い声のする方へ近づいてみると……。
映姫「まったく貴女はサボってばかりで……くどくど……。そう、貴方は少し……ぐちぐち……ねちねち……」
うへぇ、閻魔様だ。きっと説教の最中なのだろう。内容から察するに相手は死神だろう。巻き込まれたくないから見なかったことにして立ち去ろうとしたが……。
映姫「まったく小町ときたら……その大きな胸は飾りなのですか?」
美鈴「ふぇーん! 人違いですよ閻魔様~><」
よく見ると関係ない人を説教しているじゃん! 閻魔様ともあろうお方が人違い!? いくら長身でグラマラスで赤毛でサボり癖があるからって小町と美鈴は別人である。これでは関係のない美鈴が不憫だ。
貴方「ちょっとちょっと、相手を間違えていますよ!」
遮るように俺は映姫に説教を止めるようにと要求する。思わぬ邪魔が入り顔をしかめる閻魔様。
映姫「おや、誰かと思えば今回の宴会の主催者ではありませんか。わざわざ寺で酒池肉林の乱痴気騒ぎを起こすとは、やはり妖(あやかし)と寝食共にする人間というものはロクなものが……」
わわわ、こっちに説教の対象が移ったぞ。面倒くさい!
貴方「そう言う閻魔様だってこの宴会に来ているではありませんか」
映姫「監視の為です!」
そう言う割には周囲にはからの酒瓶が相当な数転がっている。恐らく彼女が飲んだのだろう。こんな状況で宴会の監視などおかしな話である。ここで映姫が誰と卓を共にしているかを確認してみよう。何か真相が見えるかもしれない。
ええと……まず目に入ったのが天人の天子。ああ、確かに説教することが多そうだな、納得。そして見知った顔のぬえ。こいつも説教の餌食になりそうなタイプだな、納得。なるほど、確かに問題児っぽいのが揃っている。
そして今しがた捕まっていた美鈴。どうやら宴会の席で説教したい奴を呼び出して回っているようだ。正直はた迷惑な話であるが、きっと彼女も普段の仕事が忙しすぎてストレス発散させているところなのだろう。
だが、あからさまに人違いな美鈴だけは助けてやらなくては。小町がどこにいるかは分からないが、相手は酔っぱらい。何か隙を見せるはずだ。
貴方「それじゃあ、あちこちに散乱している空っぽの酒瓶は何なんですか?」
痛いところを突かれて一瞬表情がこわばる映姫。しかしすぐに平静に戻るとツカツカとこちらに迫ってくる。
映姫「さっきから人の揚げ足取りばかり。これが飲まずにやっていられますかっ!?」
逆ギレ!?
映姫「そう、貴方は少し屁理屈が過ぎr」
だが、閻魔さまのありがたい説教は聞けずじまいだった。さらにこちらに詰め寄る映姫は転がっていた酒瓶に足を取られてすっ転んでしまったのだ。素面の閻魔様ならこんなことまずありえない。今が好機と後ろでアワアワしている美鈴の手を取りこの場から脱走した。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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