何者かが雛の主張に賛同していた。声の出どころは真上。バチバチと帯電しながら俺の隣にふわりと降り立つのは衣玖さんであった。
衣玖「騒がしいと思って来てみたら甘ったるい香りをまき散らしながら乱暴を働こうだなんて……。ひ弱な○○さんが傍にいるというのに配慮に欠けすぎです!」
アンタの発言も配慮に欠けてるけどな。ひ弱、ひ弱……シクシク。そんな貧弱な俺を無視して少女達だけで勝手に話が進んでいく。
雛「さあ、今のうちに安全な場所へ!」
空中で再び電撃が弾ける。衣玖さんが放つ眩い閃光が幽香の視界を奪うと、対する雛は俺をフリルの一杯ついたリボンでぐるぐる巻きにくるむと何処かへ飛び立ってしまった。奇妙なまでに統率のとれた動きである。
(宴会会場はずれの暗がり……)
人気のない寂しい場所。誰かが飲みかけのまま席を離れたのだろうか、中途半端に飲物の残ったグラスや半分以上からになったボトルが乱雑に置かれていた。そんな場所に俺は軟着陸。何故か机の上に横に寝かされていた。
貴方「ところで俺はいつまでここで縛られているんだ?」
ぐるぐる巻きのリボンを少しずつほどいていくが、何故か手足が動かせないように縛りつけられたままであった。リボンが柔らかな素材でできているのか、痛みはないがこれでは身動きが取れない。
こちらの焦りなど、そして質問の言葉などものともせず、淡々と厄神様はリボンをほどいていく。もちろん肝心な場所は縛ったままで。
貴方「何か答えてくれ!」
ようやくこちらの声に気が付いたのか、それても一連の何かを行う準備が済んだからなのか、雛は真顔でこちらに近寄ると……というか吐息を感じるほど接近してきた。
雛「貴方の体から何か悪い気が出ているのよ。恐ろしい厄だったら大変! だから貴方の体を少し調べさせてもらうわ」
な、なるほど。彼女の言い分は筋が通っている。だがこの状況はやっぱりおかしいだろ! 手足を縛られているんだぞ! 俺は若干感情的なりながら指摘してせめて自由に動けるようにしてくれと頼んだ。
雛「……ダメよ。悪霊的なものが取りついていて体を乗っ取られたら大変! それに、ちょっとくすぐったいかもしれないからね」
いちいち想定するもののスケールが大きすぎるんだよっ! それにくすぐったいっていったいどういう……ひゃうっ!?
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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