こいつは薄ら笑いの仮面をかぶっているのではないかと勘繰ってしまうくらいだ。

青娥「やんっ、ケダモノ/// これ以上悪く言うとわたくし何されちゃうのかしら? せーが、怖いわ~」

俺はふざけて怯えている演技をする青娥の瞳の奥がギラリと光ったのを見た気がした。何か仕掛けてくる、しまった! だが、思考回路が危険信号を出したころには時既に遅し。サッカーボールくらいの大きさをしたどす黒いエネルギー弾が俺の腹で炸裂した。

貴方「ぎゃあっ!」

爆風に飲まれ、数メートル吹き飛び地面に突っ伏す。

青娥「襲われると思って思わず弾幕使っちゃった♪ でもこれって正当防衛ですわ。かわいそうに、お腹にポッカリ穴空いちゃった? くすくす……」

思えばアールバイパーもないのに仙人に戦いを挑もうとした時点で無謀な話なのである。傷の方は……あれ、大したことないぞ。吹き飛ばされた衝撃で頭がもうろうとするが、致命傷を受けた感じはしない。

青娥「そんなに怖い顔しないで頂戴。最初から怪我なんてさせるつもりはありませんわ。だって、死んじゃったら○○を本当の意味で魔住職サマから奪ったことにならないから……ね」

要は俺を殺した後でキョンシーにして白蓮さんから俺を奪ったところでそれは「青娥だからこそ出来た芸当」であり、完全勝利とは言えないということらしい。青娥は能力抜きで女子力だけで俺を白蓮さんから奪い去り、屈服させたいようなので、俺が死んでしまってはダメということらしい。

なるほど、命の危機は去ったが……こんな人を道具扱いするような奴はこちらから願い下げだ!

恐らく白蓮さん本人ではなくて彼女と親しい誰かに「毒」を盛っている。それで白蓮さんは「毒」を盛られた誰かを介抱するために「聖域」にいないということだろう。「毒」の犠牲者が出たものの、それは白蓮さんではない。

ん、待てよ……? こいつは一体何のためにこんな回りくどいことをしているんだ? アルコール禁制の「聖域」には飲兵衛は近づきたがらない筈。あるとすれば早苗さんのように潰れてしまった場合くらいだろう。

そして「聖域」を管理する白蓮さんを介抱の為に追い出すことで「聖域」でまともな思考を行える者は誰もいなくなる。そして待ち構えていた青娥……。しまった、最初から俺を狙っているんだ!

俺がそのことに気づいたころには奴の姿は見えず、左右に目をやり探すが見当たらない。そうしていると背後から……

青娥「うふふ、大正解♪ ○○が欲しいのですわ。今日はいつにもまして素敵なのですね。首筋も男らしい素敵な香り……///」

首筋に時折息を吹きかけながら優しく腕を回し、さらに片足を絡めるように背後から抱き付いてくるので動けない。もちろん白蓮クラスの素晴らしさ……もとい破壊力を持つ「凶器」による責めも執拗に背中を襲ってくる。

貴方「お前の魂胆はバレバレなんだよ。このっ、このっ……!」

とても心地よいがこんな見え見えの罠にかかるほど俺も馬鹿ではない。理性が吹き飛ぶ前に振りほどこうとするが、柔く巻き付いているように見えてなかなか振り落せない。ジタバタともがいていたら一瞬だけ腕の拘束が緩まった気がした。今しかない!

貴方「ええい離れろ! 俺もアールバイパーもお前の好きにはさせない!」

俺は片腕を掴み取ると、エイヤッと振りほどいた。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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