俺が青娥の片腕を掴んで振りほどいた後、バランスを崩した邪仙は崩れ落ちるように転ぶと上目遣いでこちらを見てくる。ふんっ、そんな目で見ても俺は流されないからな!

貴方「どうせその後は嘘泣きからの泣き落としに入るんだろ? お前の茶番には付き合ってられない。さて、早苗の介抱を……」

案の定、青娥は袖で顔を覆うと、シクシクとやり始めた。俺はそれを一切合財無視して「聖域」で眠る早苗さんの様子に目をやった。いくらか顔色が良くなっているようであり安堵した。

青娥「しくしく……」

アーアー聞こえなーい。

青娥「しくしくしく……」

誰かがシメにラーメンでもすすっているんだな。

青娥「しくしくしくしく……」

…………

青娥「しくしくしくしくしくし……」
貴方「だぁー、うるっさーい! お前は演技だってバレてるの。いい加減負けを認めろ!」

遂に耐えられなくなり俺はヅカヅカとへたり込む青娥に近寄るとその顔を、きっと腕の中では舌を出しているであろうその顔を覗き込む。

貴方「なっ!? お前本当に……?」

驚愕した。瞼は腫れており、その両目は赤くなっていた。おびただしい量のしょっぱい液体がその二つの目から流れ落ちており今までの行動が演技ではなかったことを物語っていた。演技で涙を流すことの出来る女優というのは聞いたことがあるが、泣き腫らし方がそのレベルを明らかに凌駕していたのだ。

そんな涙目の天女のような少女と目が合う。いつも高圧的だったり無駄に色気を振りまいたりするいつもは悪意に濁った瞳の奥底に純真な光を見た気がした。俺がそれに気づき息をのんでいると青娥はワーと号泣しながら俺に抱き付いてきた。

青娥「酷いですわ! こんなにも、こんなにも○○のことを想っているのに『演技だ』の一点張りで……」
貴方「いやそれは普段の行いが……」
青娥「わたくしだって誰かを愛おしいと思う時くらいありますわよっ。あーん!!」

号泣しながらなおも抱き付いてくる。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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