駄目だ、いい策など思いつかない。ちっぽけな人間にとって今目の前で起きていることはあまりに強大なものであった。俺一人の力ではどうにもならない。

アールバイパーを使って仲裁するとも一瞬考えたが、幽々子や紫を一度に相手するなど無謀にもほどがある。

貴方「どうして、こんなことに……なんでそこまでする必要があるんだよ!」

外野から争いを止めようと必死に叫びをあげるが、戦場にその声が響くことはなかった。やはり俺一人ではあまりに手に余る状況という事か。激しく無力感が襲ってくる。

俺はただ白蓮さんの代わりに宴会を開いてみんなと親睦を深めたかっただけだ。俺がやらなければ命蓮寺は孤立していってしまう、それを防ぐためにも……。だが結果はこうだ。親睦どころか戦争が始まってしまった。こんなこと、俺は望んでいない! 望んでなんか……

貴方「あっ……」

そうか、分かってしまった。この惨劇はすべて俺がもたらした結果なのだ。宴会を企画したのは俺、体調管理が出来ずに寝込んだのも俺、永遠亭の眉唾物の薬に手を出したのも俺、自らに起きた「異変」に気が付かずにフェロモン汗をあちこちにまき散らし少女達を狂わせたのも紛れもなく……

貴方「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

全部全部、俺が引いた引金だ! 突きつけられた衝撃の事実に俺は頭を抱え叫び声をあげる。大きすぎる罪の意識にさいなまれ叫び声はいつしか嗚咽が混じり始めた。

泣いた、男泣きに泣いた。知らぬ間に異変を大きくしていた自らの浅はかさに、目の前の脅威に対して何もできないというどうしようもない無力感に、こんなこと望んでいないというのに、結局自らがこの結果に導いてしまったという絶望感に。

とめどなく流れ落ちる涙。あまりにみっともないかもしれないが、それでも涙は止まらない。

衣玖「えっ、○○さん!?」

あまりの異常事態に戦場は硬直、異変の渦中に視線が集まる。

貴方「俺は、俺はこんなことの為にみんなを呼んだんじゃないっ! それに俺をモノ扱いしないでくれ!」

号泣したまま俺は走り去る。命蓮寺の廊下を走り、そして自らの部屋に籠った。自分でも気持ちの整理がつかない。とりあえず俺は一人になりたかったのだ。




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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