むかしむかし、イチデレラという美しい娘がおりました。彼女には雲山という強くて優しい父親がいましたが、母親はおりません。ある日不幸な事故に巻き込まれ母親は帰らぬ人となっていたためです。

そんな雲山がテトランと再婚をしたのはつい最近のこと。新しい母親となるテトランや新しい姉となるクリスタルコアシャイニングコアに挨拶をします。

イチデレラ(一輪)「こ、これからよろしくお願いします……///」

最初の挨拶の時、イチデレラは恥ずかしがり屋なために雲山に貰った深い青色の頭巾をギュっと深くかぶりこんでしまいました。

継母(テトラン)「結構可愛らしいのね。よろしく」

でも頭巾を被ったままなんてちょっと失礼。そう思ったイチデレラは頭巾を取ってもう一度挨拶することにしました。すると素っ気ないながらもそれなりに歓迎していたテトランたちが……

継母(テトラン)「なんて娘かしら! この子ったら自分の間違いを潔く認められるいい娘を演じるためにわざと頭巾を被って最初に挨拶したんだわ!」

義姉A(クリスタルコア)「なんてこと! 最近の若い子は何考えてるかわからないわね。したたかで憎たらしいったら」

いわれのないことを言われ、思わず頭巾を深くかぶりなおして「うぅ」と小さく唸る一輪。

義姉B(シャイニングコア)「そうね、その見るだけで吐き気を催す顔には、野暮ったい頭巾がお似合いよ、この頭巾被り!」

継母(テトラン)「この引っ込み思案の頭巾被り!」

そう、彼女達との出会いはイチデレラにとっての不幸の始まりでもあったのです。新しい母親も新しい姉達も皆一輪の美しさに嫉妬して意地悪ばかりするのでした。

元々の自分の部屋も追い出されてしまい、粗末な屋根裏部屋に押し込まれ、そして次から次へと掃除や炊事の仕事を押し付けられるのです。

イチデレラ(一輪)「……泣きません。お父様がようやく得た新しいパートナーなんですから」

何度も心折れそうになるも、それでも雲山と新しい母が楽しそうにしている姿を見るとどうしても不平を口にすることが出来なかったのです。

心優しくもあまりに引っ込み思案なイチデレラは今日も仕事を終えるまで涙も愚痴も出さずに、そして粗末な屋根裏部屋に戻るとそのぼろぼろの服を涙でぬらすのでした。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

お気に入り登録登録済み一覧

セーブデータ
新規登録・ログイン・マイページはこちら