いつになく真面目な面持ちをする鳩の妖怪にイチデレラも思わず肩に力が入ってしまいます。
鳩(ビックバイパー)「なんか、イチデレラちゃんを見ているとね、おじさんの若い頃思い出しちゃうんだ。おじさんだってね、昔はすっごく強かったんだぞ。悪さをするバクテリアンどもを何度も懲らしめたし、人類最後の希望だなんてチヤホヤされたことだってあるんだ」
それだけ言うと、鳩の妖怪は屋台から大きな瓶を取り出しました。「一応運転中だからな。ジュースだよ」と一声添えると中の飲み物をイチデレラに振舞います。
鳩(ビックバイパー)「まあバクテリアンには勝てても寄る年波には勝てなくてさ、すっかりオンボロになって今ではしがないタイヤキ屋のオヤジ。イチデレラちゃんだって本当は結構なお嬢様なんだろう? だというのに今ではこんなことになってホントかわいそうでかわいそうで……」
それだけ言うと鳩の妖怪はジュースを一気に飲み干してしまいました。
鳩(ビックバイパー)「さて、年寄りの長話はこれでおしまい。早くお家に帰らないとイチデレラちゃんが外出していたことがバレちゃうね。さあ、帰ろう!」
それだけ言うと鳩の妖怪は一生懸命屋台を引いてイチデレラの家を目指すのでした。
(その頃お城の門前では……)
せっかく運命的な出会いができたと思ったのに忽然と姿を消してしまったその相手を悔み、ガクリと肩を落とす王子○○。
貴方「そんな……。あの娘となら上手くいくと思ったのに……」
秘書(衣玖)「お呼びになりましたか、王子様? 後少しだったのにおいたわしや……。ところであのお嬢様、靴を落としたようですね」
いつの間にか王子○○の真後ろに立っていた秘書さんはガラスでできた綺麗な靴を手にしていました。星空の下でイチデレラと一緒に即席のダンスレッスンをした貴方にはそれが彼女の靴であることがすぐに分かりました。
貴方「あのお嬢さんの靴だ。衣玖、国の総力をあげてこの靴の持ち主を探すぞ!」
王子○○とて本来は人の上に立つのに相応しい立派な王族。卑劣な賊相手には毅然とした態度で振舞うし、政(まつりごと)だって秘書の衣玖さんに手伝ってもらいながらではあるものの、民の安息をちゃんと考えられる名君。どういうわけか恋愛事には奥手ではあったものの、今の宣言でそれも覆ったことになります。
秘書(衣玖)「はい♪ 私の名にかけて、何としてもこの靴の持ち主を探し当てて見せましょう!」
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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