王国主催の舞踏会開催の知らせはイチデレラの家にも届きます。届いた手紙を整理していたら妙に質の良い紙を使った封筒があるなと思い、よく見てみたら招待状だったのでイチデレラは驚いて目を見開きました。

ところが運悪く、その手紙をたまたま居合わせていたクリスタルコアに取り上げられてしまいます。

義姉A(クリスタルコア)「なにこれ? ……まあ! 王国で舞踏会ですって? ちょっと母さんっ! かあさーん!」

あれよあれよの間に継母と義姉二人が招待状に群がり、イチデレラはその輪から追い出されてしまい、招待状も取り上げられてしまいました。


(そして舞踏会当日……)


義母(テトラン)「そう言えば王子様は少し前までお見合いの相手を集めていたわね。あれから誰かと進展したなんて知らせもないし、もしかしたらこの舞踏会で結ばれるチャンスかも!?」

ゴシップ大好きなテトランが、ふと思い出したのかこんなことを口にします。その一言でさらに狂喜乱舞するのは彼女の二人の娘。

義姉A(クリスタルコア)「王子様と? なんてこと、バッチリおめかししないと!」

義姉B(シャイニングコア)「お化粧も大事ね。厚くならないように気を付けながらも目立てるように!」

彼女たちの急なテンション上昇にイチデレラは唖然とするばかり。

義母(テトラン)「ほらイチデレラ、何をしているの? タンスにドレスがしまってあったでしょう? 持ってきなさいな!」

触手で蹴飛ばされながらもイチデレラは派手な衣装をヨタヨタとよろめきながら持っていきます。もちろんこれだけ大掛かりな衣装なのでイチデレラも着替えを手伝うことに。

義姉B(シャイニングコア)「どうお姉さま? 全身大小の宝石を散らばらせてまるで星空のようでしょう? これだけ光っていれば王子様も一瞬で振り向いてくれるわ!」

義姉A(クリスタルコア)「やるじゃないの? でも私はそんなじゃないわよ? 全身電飾でコーディネイトしたわ。光っているようだなんてもう古い! 本当に光ってやるのよ!!」

どちらのドレスもあまりに派手すぎてイチデレラの趣味ではないのですが、上辺だけでも褒めちぎります。一通り賞賛の言葉を口にするとハァと一つ溜息。

義母(テトラン)「あらどうしたの? もしかしイチデレラも舞踏会行きたい?」

義姉A(クリスタルコア)「無理無理! というかそんな粗末な服じゃ王子様に会うどころかお城に入ることすらできないんじゃないの?」

それだけ言うと下品な笑いを上げる三人。玄関まで赴いて上機嫌な姉達を見送るといつもの雑用をこなし、それも一通り終わるとイチデレラは暗い屋根裏に引きこもり珍しく声をあげて泣き出してしまいました。

イチデレラ(一輪)「私だって舞踏会行きたかったのに……。でも時間もない、服もない、乗り物もない。ないない尽くしだわ。うわぁーん!」



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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