ただただイチデレラは泣きじゃくっていると、突然勝手に窓が開いたかと思うとカビくさかった屋根裏部屋に強風が吹き荒れます。急な出来事に両腕で顔を覆いながら前を見てみると、見たことのない女性がいるではありませんか。

漆黒色のドレスに身をまとい、見たことのない光を放った巻物を手にする彼女はただニコリと涙する一輪に微笑みかけます。

イチデレラ(一輪)「あ、貴方は……?」

紫色から金色にグラデーションするウェーブのかかった髪の毛をなびかせながらただ一言。

魔女(白蓮)「通りすがりの魔女です♪ それよりどうして泣いていたのですか? 可愛らしいお顔が台無しです」

常に笑みを絶やさない彼女にかつての母親のようなぬくもりを感じたイチデレラは洗いざらいすべてを話します。魔女は彼女の頭を撫でながら「うんうん」とただ聞くだけです。

魔女(白蓮)「貴女はとても優しいのですね。だというのにこんな目にあってこんなところに押し込まれてさぞ辛かったでしょう? そうですか、舞踏会に行きたいと……」

イチデレラ(一輪)「いえ、話を聞いてくれただけで十分です。舞踏会だなんて……。ドレスも乗り物もないですし、私なんてお城にすら入れないわ……」

一度は瞳を輝かせたイチデレラでしたが、今の状況を目の当たりにすると肩を竦め、頭巾を深くかぶってうなだれてしまいます。

魔女(白蓮)「本当は舞踏会、行きたいのでしょう? 本当にわかりやすい方ですね。私を誰だと思っているのです? 魔女ですよ、魔女。本当は専門外なのですが、それくらい私が用意しますっ! 今まで頑張ってきたご褒美だと思って受け取って頂戴な♪」

それだけ言うと魔女は手にしていた光る巻物をブワッと広げると巻物の文様がイチデレラを包みます。まばゆいばかりの光が収まると、そこには美しいドレスに身を包んだイチデレラの姿が。

イチデレラ(一輪)「こ、これが私……?」

オンボロなスタンドミラー越しに移るイチデレラは自分でも驚くほどきれいに着飾っていたのです。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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