ここは平和でありながらもいつも騒がしい幻想郷。今日も今日とてこの辺境の地にて小さな大騒動が巻き起ころうとしている。


博麗神社上空……


そう、博麗神社の上空を鳥とも茄子ともつかぬ物体が凄まじい勢いで飛行していたのだ。だがあれは鳥でも妖怪でもない。R戦闘機のものであった。茄子のように見える頭部はラウンドキャノピー。これこそR戦闘機最大の特徴だ。

そして機体側面にプリントされた「POLICE」の文字、そして今も激しく点滅する赤いパトライトが幻想郷の平和を守る存在であることを誇示している。そう、ここ最近幻想入りしたR戦闘機「R-11B」、またの名を「ピースメーカー」という。

そのR戦闘機が3機でチームを組み、とある大型バイドを捕まえようと追いかけているのだ。ブオンと風を切って飛行する様はまるで空を全力で駆ける馬のようであった。

ピースメーカーA「ついに追いつめたぞ、A級バイド『ノーメマイヤー』! 器物バイド化、幼女暴行未遂及び下着泥棒の罪で貴様を逮捕する!」
ピースメーカーC「無駄な抵抗はやめなさい。貴方は既に包囲されている!」

ノーメマイヤー。ずんぐりとした芋虫のような本体と、円形の「巣」がセットになったバイドである。ハムスターのように「巣」の内側を走り回りながら、「巣」ごと移動していく様子は奇抜な見た目をしたバイドの中でも特に群を抜くものであった。

ノーメマイヤー「ええい、チョコマカと鬱陶しいR戦闘機め! これでも喰らえ!」

体の一部をボコボコ音を立てて穴を開くと小型バイドを吐き出してピースメーカーたちにけしかける。

ピースメーカーB「おいっ、何か吐き出したぞ。うわぁっ、まだこれだけバイド兵器を隠し持っていたのか」

大量の小型バイドを吐き出してノーメマイヤーは包囲網を突破、逃走を始めた。残されたR戦闘機は小型バイドの駆逐に手いっぱいでノーメマイヤーをあっさり逃がしてしまう。

ピースメーカーA「くそっ! また逃がしたか。追いかけるぞ、今日こそあいつをとっ捕まえてやる! 行くぞお前ら!」

醜いバイドを追いかけて3機のR戦闘機は博麗神社を去っていく。


……

…………


突如幻想入りをしたSTG世界の住民達。生体兵器であったバイドも例外ではなく、一種の新種妖怪としてこの幻想郷に受け入れられたのだ。この幻想の地に上手く馴染もうとする者が大半であったが、そりが合わずに犯罪に走る個体も少なくない。

特に一部のバイドによる犯罪は凶悪化、常習化しており妖怪賢者「八雲紫」の新たな悩みの種となっている。

だというのに上空での大捕物とは無縁というばかりに博麗神社そのものは静寂に包まれていた。
とうの神社の主はそんなのお構いなしに呑気にお茶をすすっているのだ。

バラカス「(ずずずっずぞぞぞぞ~)ぷはー、今日もイイ天気」

バラカス曰く「あの程度の騒ぎは日常茶飯事」とのこと。確かに神社周辺は静寂そのものであるが、頭上は戦場だ。図太さもここまで来ると才能である。チ○コの形をしたバイドはほっと一息つくとその自慢のイチモツを大きく空に掲げた。

バラカス「静かすぎるのも問題だけどな。ああ、今日も客人はいないのか……ん?」

真っ赤な鳥居をくぐろうとする人影が二つ。参拝客かと胸を躍らせるが、何のことはない。自分の知人たちであった。それを知るとお賽銭がもらえないと分かりガックリとする。いきり立っていたイチモツもしょぼしょぼと下を向いてしまった。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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