人里の一角。お菓子工房の横に路地裏への道が延びている。薄暗い道を少し進むとR戦闘機やバイド用にフォースの素材を取り扱う店がある。素材は意外とカラフルであり、見ているだけでも楽しいかもしれない。でもバイド体なんかもあるかもしれないから口にしようとは思わないように。

ウォーヘッド「幻想郷でこんなお店に出くわすとはな。不思議な気分だ」

3機のR戦闘機が入店しようとする矢先、誰かがお店から出ていくのを確認した。ピンクの柔らかそうな体を持ったバイド系R戦闘機。バイドシステムαが思わず「あっ!」と声を上げてしまっている。

プラトニックラブ「あら? アルくんとウォーヘッド?」

ウォーヘッド「ご機嫌麗しゅう、ミズ・プラトニックラブ」

紳士的にお辞儀するウォーヘッド。さすがは執事長。こんなところでも瀟洒である。あまりに紳士的なので横でバイドシステムαが睨み付けていた。

バイドシステムα「俺の女だ! ところでラブたん、バラカスのところにいたんじゃないのか?」

「うーん」と虚空を見つめて、その後ため息交じりに神社の事情を口にした。

プラトニックラブ「二人とも酔って寝ちゃったから」

バイドシステムα「なんで緑茶飲んでて、酔っぱらうんだ?」
プラトニックラブ「あの酒癖悪いゴマンダーがいたからよ」
バイドシステムα「あっ(察し)」

大方緑茶にお酒でも混ぜたのだろう。そういう光景がバイドシステムαには容易に想像できた。

こんなところに来る目的と言えばかなり限られてくるのだが、一応聞いてみることにした。

プラトニックラブ「ふたりは、フォースの素材を集めに来たの?」

バイドシステムα「あ、ああ。ココはラブたんのよく来る店か?」
プラトニックラブ「いや、そんな頻繁には来ないけれどさ。新しいフォース欲しいなって時はここにまず立ち寄るかな? 今回も酔ったゴマンダーが暴れて自前のフォースを壊してしまって……」

平和な幻想郷におけるフォースは本来のバイド兵器としての側面ももちろんあるのだが、一種のアクセサリーのような意味合いを持つようになっている。

バレンタインのお返しにアクセサリー、それも手作りのものなんて素敵だと思うアルファ。しかも先程そのフォースを失っているというのだ。またとないチャンスである。

だがしかし、この店は彼女もよく知っているものらしいと分かると微妙な表情を浮かべるのであった。

バイドシステムα「そーなのかー……う~ん」
ウォーヘッド「何かまずいの?」

バイドシステムα「ズバリ言うとだな、ラブたんには今まで見たことの無いようなとびきり素敵なフォースをプレゼントしたいんだ」
ウォーヘッド「なるほど! ここのお店の材質は、プラトニックラブは知ってるわけ……と」

しかしこの二人が作ろうとしているのは手作りのフォースである。
プラトニックラブ「店の材質って……材料屋なんだけどなぁ……(困惑)。というかお菓子くれるんじゃなかったの?」

置いてけぼりのプラトニックラブに気付いたバイドシステムαは、さらりと事のあらましを話したが、彼女が要領を得ないうちに勝手に話を進めていく。

ウォーヘッド「全部じゃなくても、どれか1つでも奇抜な材料があればいいんじゃない?」
プラトニックラブ「……その、奇抜な素材を貰うのは私なんだけどー!」

しかも話がどんどん奇妙な方向へ進んでいく。料理初心者が奇抜な隠し味で失敗するように、今ここで似たような事態が起きようとしているのだ。

バイドシステムα「あ、そうだ!」
ウォーヘッド「どしたー?」
バイドシステムα「ソルモナジウムも使おうよ?」

ソルモナジウムとは主にR戦闘機の開発に使用する青色の鉱石である。もちろん普通のフォースを作るのに使ったりはしない。ソルモナジウムをメインに使用するフォースをあえて挙げるなら、バイド体フリーなフォース「シャドウフォース」くらいだろう。

そんな事実などつゆ知らずと言わんばかりにソルモナジウムを使用する方向で決まりそうだ。

ウォーヘッド「そうだね」

バイドシステムα「買ったのではなく、掘りたてなんかどうだ?」

鉱石に掘りたてもへったくれもない気がするが……。

プラトニックラブ「工作機いないじゃん。いったい誰が採掘するの?」
ウォーヘッド「じゃあ掘りたてじゃなくて『狩りたて』にする?」

ウォーヘッドはバイドや敵戦闘機を捕獲して資材に変換する捕獲弾を使用するR戦闘機がいたことを思い出した。おそらく狩りたてというのはその捕獲弾で捕まえたR戦闘機のことだろう。

バイドシステムα「捕獲弾か? あいにく俺らは持ってないな。だが、持っている知り合いはいる」

ウォーヘッド「『フューチャーワールド』だな! さっそく探して捕獲弾貰おうぜ」

プラトニックラブ「ちょっ! 貴方達に任せると何やらかすか分からないから、私も付いてく!」

こいつらに任せると何をやらかすかわかったものではない。気が気でなくなったのか、プラトニックラブも同行することにした。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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