バイドシステムα「ウォーヘッド、今だ!」
掛け声に合わせ、ウォーヘッドが亜空間へもぐりこむ。間一髪、追尾レーザーを回避した。標的を見失ったレーザーは今度はバイドシステムαに迫るが、小回りが利かないことを利用して上手くいなし続ける。
ウォーヘッド「はい、タネ無し手品でございま~す」
フォレスの胸部目前で姿を現したウォーヘッドはフォースを押し付けつつショットガンレーザーを浴びせる。
ウォーヘッド「おらおらっ! フォースとレーザー、どっちもたらふく喰らえっ!」
まずは追尾レーザーを放つ胸部を破壊。憎悪の目でこちらを睨みつける頭部が弾幕を展開する。
フォレス「フンっ!」
光ってはいるが実体のある弾幕。ウォーヘッドは機銃を掃射し、どんどん撃ち落していくが、なにぶん物量がすさまじく破壊しそびれた光弾がプラトニックラブを襲う。
プラトニックラブ「きゃあっ!?」
バイドシステムα「ラブたんっ、危ない!」
火事場の馬鹿力というやつだろうか、バイドシステムαはあり得ない速度でプラトニックラブの前に躍り出ると凶弾から彼女を守った。
プラトニックラブ「アルくんっ!」
バイドシステムα「ラブたんは俺が守る! 後ろから離れるなよ?」
そうしている間にウォーヘッドは拡散波動砲を用いてフォレスの頭部も撃破する。
フォレス「ぐはっ! うぉのれっ! 忌々しい波動砲使いめ、さっきからチョコマカと……」
頭部の攻撃機能を沈黙させたウォーヘッドは一気に距離を取った。
ウォーヘッド「あとはその腹のコアだけだ。アルファ、最大最強の波動砲を決めてやれ!」
バイドシステムαに黒い光が収束する。負けじとフォレスのコアもエネルギーを充填し始める。だが、その速さはバイドシステムαの方が圧倒的。
頭部や胸部での攻撃手段を失ったフォレスが攻撃を仕掛ける前にデビルウェーブ砲が放たれて、今まさにフォレスは完全撃破される。そうなるはずであった。
ウォーヘッド「なっ、アルファ! どうしてっ!?」
何ということか、収束していた光は醜悪なバイドの形を取る前に再び虚空へと拡散してしまったのだ。代わりにバイドシステムαの顔から光るものが風に吹かれて飛び散る。あれはバイドの涙だった。
バイドシステムα「俺、撃てないよ。デビルウェーブ砲だなんて。本当はウォーヘッドだって知ってるはずだよ。今の俺が波動砲を撃てないって」
涙を流しながらも、何か悟りを開いたかのような穏やかな表情をするバイドシステムα。
ウォーヘッド「まるで意味がわからんぞ!」
どういうことだと詰問するウォーヘッドにゆっくりとこう語り始めた。
バイドシステムα「デビルウェーブ砲は尻から出るだろ? この状況で発射したら真っ先にラブたんに命中しちゃうよ。ラブたんが傷つく、それもよりにもよって俺のせいで傷つくところなんて俺見たくないよ」
プラトニックラブ「アルくん……」
ハッと眼を見開くプラトニックラブ。男には時として守らないといけないものというものがあるのだ。たとえこの戦闘で波動砲を撃って勝利したとしても、果たして漢としての誇りを捨ててまで勝ち取る価値のある勝利なのか? バイドシステムαにとってその答えは「否」であったのだ。
ウォーヘッド「お前、そこまで考えて……。俺が浅はかだった! せっかくフォースを完成させてもプレゼントする相手がいなければ何ら意味をなさないじゃないか! どうして俺は気が付けなかったんだ! アルファ、後で俺を殴れ。目いっぱい力を入れて拳でぶん殴れ!」
プラトニックラブ「二人とも……(じわっ)」
そんな汗臭くも爽やかな空気にプラトニックラブは……静かに涙した。
彼女との絆の深さを改めて思い出したバイドシステムα、種族を越えた友情で結ばれていることを再認識したウォーヘッド。そう、漢にはどうしても譲ってはいけないものがある。
プラトニックラブ「いやいや、そうじゃなくてさ……。あの状況でフォレスがビーム撃ったら私も巻き添えじゃないの?」
二人「あっ……」
根本的なことを見落としていたらしい。
フォレス「そうよね、なんか二人で勝手にいい話にして終わらせようとしてるけど、論点が外れまくってるわよね。結局向日葵畑は荒れ果てたまんまだし」
フォレスのコアが白く光り輝く。
ウォーヘッド「フォレス待てっ、いや待ってください! 今まさに守るべきものについて熱く議論を交わしたというのにここでビーム撃つなんてアンマリでしょ?」
フォレス「守るべきものねぇ……。少なくとも私にとってはこの向日葵畑だけど、なんか。それにしてもさっきの波動砲、痛かったわぁ。そんな不埒な輩には倍返しにしてやりたい気分よ」
フォレスのコアがさらに激しく光り輝く。
バイドシステムα「落ち着いて! お願いだから暴力沙汰は……」
フォレス「散々ドンパチやっといて今更暴力沙汰はヤメテはないでしょ? 観念なさい。お返し、フォレスビーム」
青白い光がバイドシステムαを、ウォーヘッドを焼き尽くす。最後のお情けだったのか、プラトニックラブには当たらないようにうまく調節して発射されていた。
バイドシステムα「うぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
プラトニックラブ「アルくぅぅぅぅん!」
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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