お菓子を作るためのレシピを調べるべく、バイドシステムαが向かったのは霧の湖のほとりに位置する赤レンガの洋館「紅魔館」であった。幻想郷屈指の巨大な図書館を持つこの屋敷で調べるつもりなのだ。

当然そんな屋敷なので不法侵入などされないように門番がいたりする。入り口の門の前には大きな盾にパイルバンカー装備といういかつい見た目をした赤いR戦闘機「ケンロクエン」が鎮座していた。

こんな見た目だけど平時の時は結構乙女な性格。そう、こんなゴツい見た目だけど中身は女の子なのだ。「中身超きめぇ!」とか言わないように。

しかしこの門番、真面目に仕事していると見せかけてバイドと遊んでいた。バラカスの弟分のような存在で冷たい氷を発射する「ガスダーネッド」に、見た目が蟹のような中型バイド「ギロニカ」である。

ガスダーネッド「あたいー、あたいー」
ギロニカ「そーなのかー」

目を細め微笑みながら無邪気に駆け回るバイドを観察するケンロクエン。横には赤い機械の体を持ち、いつも回転しているバイド「リボー」が渾身のダジャレを披露していた。

リボー「隣の垣根に囲いが出来たんですって!」
ケンロクエン「へー」

そんなツッコミ不在の空間が一瞬色を失った。直後、ケンロクエンの背後に忍び寄る気配。ハッと我に返り振り向こうとするも体が動かない。動くはずのものが動かないという焦りに冷や汗を垂らすケンロクエン。

そうしているうちに周囲の色が戻る。ようやく振り向くことのできたケンロクエンは何か別の意味をはらんでいるであろう笑顔を見せる紅魔館の従者「ウォーヘッド」と鉢合わせしてしまった。

ウォーヘッド「お仕事の最中におしゃべりとは、随分と大層な御身分だね~?」

格上っぽいR戦闘機の登場にかしこまるリボー。

リボー「あっ!……どっ、どうも(ぺこり)」

ケンロクエン「……うっ、ウォーヘッドさん!! ……やっ、その、え~とですね……」

必死に目を逸らしながら言い訳の言葉を考え、そして出てきたひとことは……

ケンロクエン「そう! 門の中には侵入させていません!」

あまりに無理があった。

ウォーヘッド「そう、仕事は全うしている……と」

白いR戦闘機は空を指さす。今まさに肉塊のバイドが紅魔館の門を飛び越えて飛行しているところであった。

ケンロクエン「……侵入されてしまいました~(泣)」

ウォーヘッド「『侵入されてしまいました~』じゃねーよ! 門番の役目全然果たせてないじゃんか! 大体お前は『固い、強い、遅い』とかいうから門番として雇ったのに、この前だって『アンフィビアン』に亜空間航行されて侵入を許しているし、今回に至っては亜空間移動すらできない奴に侵入を許してるじゃねーか! こんなだから『R-TYPE TACTICSII』のPVで醜態をさらすことになるんだ」

そんなこと言っているが、そのPVでケンロクエンの突撃を亜空間突入でスルーしたのは他でもないこのウォーヘッドだったりする。もちろん彼自身ははそんなこと棚に上げて叱り続ける。

哀れな門番の「ひーん、ごめんなさーい!」という悲鳴を尻目に、バイドシステムαは目的の場所へ侵入していった。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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