大声はご法度の紅魔館魔法図書館。ただただ本のページをめくる音だけが響くこの静寂を管理しているのが「賢人」の名を持ったR戦闘機「ワイズマン」と彼の部下であり司書をこなしつつ警備も任されている偵察機「ミッドナイトアイ」である。

今もゆっくりと時の流れる図書館で読書にふけるワイズマン。すぐ後にこの静寂が破られるとは知らずに……。

一方紅魔館への潜入に成功したバイドシステムα。実は潜入はこれが初めてではなく、スイスイと目的地に向かう……筈だったが途中で道に迷ってしまったようだ。

バイドシステムα「目の前の壁が俺の進路を遮る。お前も俺の邪魔をするのか、あの高層ビルのように!」

ゆっくりと波動砲のチャージに入る。ある程度のチャージが済むと溜めた波動エネルギーを一気に解放した。ただし波動砲は尻から出る。

バイドシステムα「デビルウェーブ砲っ!」

ワシャワシャ這い回るバイドの形状を取った波動砲は一度後ろに射出されたかと思うとクルリとターンをし、そして本来の標的であった壁めがけて突撃する。そう、デビルウェーブ砲は対象を追いかける性質があるのだ。そして壁に着弾。大穴をあけることに成功した。

ひらりと穴の向こう側へ飛ぶバイドシステムα。狙い通り図書館に入れたようでご満悦だ。

バイドシステムα「よー、ワイズマン! 遊びに来たぜ!」

が、いきなり大きな音を立てられるわ壁を崩されるわなのでワイズマンにとっては踏んだり蹴ったりである。何度もせき込みながら壁を壊した犯人をにらみつける。

ワイズマン「ゲホッ、ゲホッ……。あなたはいい加減、ドアから入るって事を覚えなさい」

いつも投げかける文句。そしていつも浴びせられる一言。また本を借りるとか言って返さないつもりなのだろうか。そんなワイズマンの予感は的中してしまう。

バイドシステムα「それで……今日は本を借りに来たんだ」
ワイズマン「ギャー!! もってかないでー!」
バイドシステムα「大丈夫! ちょっと借りるだけだ(ドヤッ!)」
ワイズマン「借りる? 盗むの間違いじゃないの。つーかこの前貸したやつまず返せ!」

至ってまっとうな要求である。だが、ワイズマンの声に力はない。そう、こんなこと言って返してくれるようなら、こんなに頭を悩ませることはない。

バイドシステムα「いや返す気はある」

案の定、気だけはあるようだが気配がまるで感じられないのだ。やれやれとため息をついてこう力なく返すワイズマン。

ワイズマン「気だけでは返ってきたらどれだけ楽だか」
バイドシステムα「気持ちだけでも受け取ってくれ」
ワイズマン「モノをよこせ」

ここまでで図書館らしからぬ騒音を撒き散らしたバイドシステムαはさっそく本棚の物色を始める。

バイドシステムα「現金だなーワイズマンは」

だがワイズマンとてこの状況を黙ってみているわけにはいかない。司書のミッドナイトアイを呼び寄せようと指をパチンと鳴らす。

しかし、それよりも圧倒的に早く現れたのは……



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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