空を切るのは簪ではなかった。だが、青娥の簪にも負けず劣らずの鋭い「何か」が私の首元をかすめたのだ。

恐る恐る眼を開けると、そこにはいつもは見せないような真剣な面持ちの紫がいたのだ。

紫「間一髪、間に合ったわね」

紫は青娥の手にとっさに平手打ちをし、簪を弾き飛ばしたのだ。クルクルクルと宙を舞う簪はそのまま地面に突き刺さる。そのまま紫は傷口に優しく手を当てる。傷の痛みがみるみる引いてきた。

紫「こうやって傷口という名の境界を塞ぐの。でも青娥はあんまり待ってくれないみたい。時間が取れないから応急処置くらいしかできないわ」

そのまま私を庇うように青娥に挑む紫。

紫「霊夢、致命的な傷が塞がったからって、あんまり暴れると傷口が開くから一緒に戦おうだなんて思っちゃ駄目よ? 後でちゃんとした治療をするから、ちょっと待っててね」

だけど今の青娥は普通ではない。あのことを紫に伝えなくては。ゆっくりと体を起こしながら、声を絞り出す。

霊夢「ゆか……り。気を、つけて。アイツは妙なバリアを使ってくる。下手に攻撃したら私みたいに……ゴホッゴホッ!」

駄目だ、大きな声を張り上げることすら出来ない。吐血しながら私は再び地面に倒れ込んだ。あれで伝わったのだろうか? あとは紫に任せるしかない。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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