地面から這い出てきたキョンシー達を見下ろしながら、青娥は満足げにしている。

青娥「身代わり人形って可愛い可愛いこの子たちのこと? あらあら、いけませんわ。この私の為に誠心誠意もって働いてくれる死体のことそんなふうに言っちゃ」

奴の号令一つで土まみれのゾンビどもはピョンピョン跳ねながら整列する。ビシっとその両手を前に突き出しながら。

青娥「なんだか面白そうなボールの取り合いが流行っているそうですわね。きっと貴女もボールを無慈悲に分捕っていったのでしょう? やれ妖怪退治だとか異変解決だとかのたまいながら。楽しそうだわ。私もボールで遊びたいから、頂戴♪」

分からない。この私をもってしても奴の腹の中は探れない。本当にオカルトボール争奪戦に参加したいだけ? あり得ない。青娥に限ってそれだけなんてことはあり得ないわ。「何か」を企んでいる。だけどその「何か」がサッパリ分からない。

霖之助さんによるとオカルトボールは何らかの手順を踏むことで結界を破壊することが可能な道具。その手順というのは恐らくボールの取り合いが関係しているだろう。7個集めると何かが起こるという噂があることを考えると、その手順というのはボールを集めきるという事であることが推理できる。弾幕ごっこなんてしない霖之助さんでは決してたどり着けない答えである。

そういえばボールを集めきった魔理沙も外の世界らしき場所の話をしていたな。そう考えると全てつじつまが合う。

まさか、オカルトボールを用いて博麗大結界を壊そうと目論んでいる黒幕というのは……。

いやいや、それもあり得ない筈よ。青娥の能力は「壁をすり抜けられる程度の能力」。それは強固な魔界への入り口を封じた結界さえも破って見せたほどの強力さを誇る。この私も見ているから知っている。だから奴が結界を壊す為にわざわざオカルトボールの力に頼る必要なんてない。

霊夢「遊びたいだけ? とても信じられないわ。結界を壊すだけならアンタはこんなものに頼らずともその頭の簪でいくらでも穴を開けられるでしょう? まあそうする前に私や紫が止めるけど」
青娥「まあっ、このボールってばそんな物騒なことが出来てしまうのね。せーが怖いわぁ……」

白々しい。とにかく外界と幻想郷のどこかで作られたとされるオカルトボールを渡すわけにはいかない。このふざけた異変に終止符を打つためには。

私は地面から這い出たゾンビどもからまず相手にすることにした。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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