絶体絶命のその時、俺の脳裏に浮かんだ都市伝説は日本でSTGのパイオニア的存在となった「スペースインベーダー」のものであった。

自機とインベーダーの距離が限界まで詰まった時、奴らからの攻撃がすり抜けてしまうという裏技、通称「名古屋撃ち」。

侵略目前の逆転の一手。失敗すれば地球に明日はない大博打。

手にしていたオカルトボールが呼応するかのように光を放ち始める。それと同時にディスプレイにも異変が起きた。

システムボイス「OCCULT WEAPON『NAGOYA ATTACK』READY!」

インベーダーからの射撃をすり抜けるアールバイパーのアイコンが浮かび上がったのだ。俺は声高々に技の発動を宣言……しようとしたが思いとどまる。

いや待て、名古屋撃ちということはまずは慧音に十分に接近しないといけない。今から発動しても何ら意味を持たないのだ。はやる気持ちを抑え、俺は爆ぜる弾幕の隙間を潜り抜ける。

慧音「接近しても無駄だ。またさっきのように頭突きで……」
貴方「『ナゴヤアタック』!」

不思議なことが起きた。慧音が今まさに頭突きをせんと角を突き出してきたものの、銀翼はその角を勝手にスルリと避けてしまったのだ。まるで同じ極の磁石が決してくっつかないかのように。

驚き目を見開く慧音に今度はこちらから攻撃をお見舞いする。武装をダブル系、つまりショットガンに設定した。

貴方「全部喰らってはじけ飛べっ、ショットガン!」

至近距離から散弾銃を全弾命中させたのだ。その威力は計り知れず、慧音を大きく吹き飛ばした。が、彼女も負けておらず、右腕を差し出すと人魂型のオプションを呼び寄せ、弾を撃ち出してくる。

貴方「無駄だ無駄だ、この『ナゴヤアタック』を前に至近距離からの攻撃は意味をなさない」

今度は悪あがきなのか、角を突き出して突進してきた。今度もすり抜けて……



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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