操縦桿を微妙に傾けながら背後からの銃撃を避けていくが、そちらに気を取られてしまい、右側の翼が壁を激しく擦ってしまう。急激に速度を落としたことによる衝撃に、俺は機体の中で大きく前につんのめった。

一方の早苗さんは速度の落ちたこちらを狙うべく、四角錐のワイヤーフレームを向けてきた。いかん、これは「フリーレンジ」の前兆……!

貴方「『ナゴヤアタック』!」

瞬間、電撃が銀翼を襲うがスルリとそれらをすり抜け、早苗さんの背後に回ることに成功した。そこからショットガンを浴びせる。

しかしこちらのオカルト技を予定よりも早くお披露目することになってしまったのは痛手である。近距離からのフリーレンジなどまともに受けたらたまったものではないとはいえ、相手は外の世界でSTGに慣れ親しんできた早苗さんである。恐らくはこの技の性質をすぐに見抜いてしまっただろう。

事実、今度は俺が早苗さんを追いかける形になっているものの、再び俺の背後を取ろうとするのではなく、グングンと距離を離していくではないか。追いつかんと速度を上げるが、鋭い青色のショットが行く手を遮った。

しまった、ガントレットには背後を攻撃する手段がたくさんあるではないか。フリーレンジやハンターもそうだが、こういった細長い空間では単純にあの「バックショット」が極めて有効。見た目は貧弱だが、今被弾すれば致命的である。

やはり、気付いているぞ。このオカルト技の性質に。そうでなければ距離を取って攻撃しようなどとは思わない筈だ。

こちらに不利な状況はこれだけではない。早苗さんが通った後の通路からこちらを遮断するべくあらゆる方向からシャッターが下りてくるのだ。慌てて閉じているのか、完全に道が閉ざされることはないものの、ただでさえ狭い通路がさらに通りにくくなるのは問題である。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

お気に入り登録登録済み一覧

セーブデータ
新規登録・ログイン・マイページはこちら