砕けてしまったボールも気になるが、それよりも今は早苗さんだ。ガントレットは見るも無残なほどに大破しており、修理しないと再び空を舞うことは難しいだろう。しかしその乗り手たる早苗さん本人には見たところ大した負傷が見られない。今までのダメージはみんなガントレットが引き受けていたのだろう。さすが防具の名前を付けられた(ガントレット=籠手)戦闘騎なだけある。

早苗「うぅ……」

今はオカルトボールも失ってしまったし、何よりも彼女を放置するわけにはいかない。俺は早苗さんを背負うと、銀翼の後部席に座らせ、再び空を舞った。

早苗「私達は、止まるわけには……」
貴方「どうしてそんなにオカルトボールの量産に固執する?」

俺はさらに中枢を目指しながらうわ言のように何度も同じことを口にする早苗さんに問いかける。

早苗「それは……幻想郷の為なんです。神奈子様に会ってください。そしたら貴方も考えを改める……筈」

それだけ口にすると再び寝息を立ててしまった。

ほどなくして俺はオカルトボール工場の中枢にたどり着いたようだ。薄暗い広間であったが、あちこちで機械類が小さな光を発している不気味な空間であった。その奥では威圧的な注連縄を背負い、巨大な御柱に腰掛ける山の神様の姿があった。

神奈子「早苗の持っていたボールは……。くっ、やはり砕けてしまったようだな。反応が見られない。まだまだ改善の余地ありか……」

俺は早苗さんを安全な場所に降ろすと、ブツブツと独り言を続ける神奈子を俺は大声で呼ぶ。

神奈子「来たか○○。早苗は……アールバイパーが連れてきたのだな。○○なら倒した後も放っておかずにそうするだろうと思っていた。さて、私の工場で散々暴れ回ったようだが……」

貴方「これ以上の混乱を引き起こさない為にも……神奈子っ、俺はお前と工場を止めて見せる!」

そう啖呵を切ると、神奈子さんはスッと御柱から飛び降りる。

神奈子「くくく、人の子が神に挑むか。いいだろう、遊んでやるっ! そして身をもって思い知るがいい、今のお前があまりに目に見えているものしか認識できぬ浅はかさに囚われているかを!」



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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