目を閉じることすら出来ない俺であったが、視覚も聴覚も健在である。だから余計に恐怖したのだ。だが、聴覚が希望に繋がる音をキャッチしていた。

突如背後で爆発音が響いたかと思うと、炎を纏った脚が女神のどてっぱらを思い切り蹴り飛ばしたのだ。

妹紅「ふう、デカいことしている割には警備が手薄なんだな。おかげで予定よりも早くここにたどり着けた」

赤いもんぺ姿の長い白髪を持った少女。こいつは確か妹紅だ。慧音先生によるとオカルトボールを集めて回っているそうだが……。というか警備が手薄だったのは俺が攻略したからだっ!

ともあれ、今ので体の痺れが取れた。これでまたアールバイパーを飛ばせる……が、何だか二人の様子がおかしい。少し様子を見てみよう。

妹紅「いったい何のつもりだい、山の神サンさぁ? 困るんだよね、私は特別なオカルトボールを集めているってのに、こんなまがい物をばら撒いちゃってさ」

蹴り飛ばされた場所をさすりながら神奈子が起き上がる。

神奈子「ばら撒く? 私はそんなことしていないぞ! あくまでここでオカルトボールの模造品を開発しているだけだ」

模造品? 今神奈子さんは模造品と言っていたな。つまりこの工場では本物のオカルトボールは作られていない。なるほどそれで合点がいった。早苗さんの持っていたボールも偽物だったから途中で砕け散ってしまったんだ。

妹紅「とぼけてもらっちゃ困るよ! アンタだって知らない筈はない。変な噂の尾びれまでくっつけちゃってボールの争奪戦があちこちで引き起こされているんだ。とにかくこの工場は事態をややこしくするだけだからとっととぶっ飛ばすぞ!」

再び対峙する両者。自機に強烈な弾幕の応酬が始まるだろう。その腕に炎を纏わせた妹紅は今にもつかみかからんという勢いである。

神奈子「ま、待て! 私達で、幻想郷の住民同士でつぶし合うのはやめよう。こんなことをしている場合ではないんだ!」

意外な言動に妹紅は一瞬だけたじろぐも、すぐに態度を硬化させてしまった。

妹紅「こんなこと……か。同感だ。こんな下らんオモチャを垂れ流す建物は燃やすに限るわ」



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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