紫「霊夢を、霊夢をどこにやったのよ!」

感情の赴くまま道路標識を振り回しながら迫ってくる。どうにかレイディアントソードの腹でこれを受け止めていく。ぐっ、弾幕が強いとばかり思っていたが、身体能力も桁はずれだ。さすがは九尾の狐をも式神にしてしまう大妖怪という事か。腕っぷしも並みの人間の比ではない。

貴方「霊夢だって? 俺だって最近見かけていないぞ」
紫「嘘おっしゃい! こんなにも結界がズタズタなのに、いくら呼んでも霊夢が来ないの! きっと今頃外の世界に放り出されて……」

駄目だ、完全に錯乱していてこちらの言い分をなかなか聞いてくれない。怒りのあまり動きが単調になっているのが幸いしており、どうにか攻撃を防御し続けているが、こんな状況が長く続いてはアールバイパーが持たない。

貴方「馬鹿言うんじゃない! 俺が外の世界に飛ばされるのはこれが初めてだし、誰かを放り出した覚えもない!」
紫「そんな筈ないわ。ここ最近になって何度も結界に穴が開いているの。そんなことはお見通しよ」
貴方「オカルトボールの異変だ。全部外の世界の侵略者が仕組んだ罠……」

ガツンと衝撃が走った。遂に翼を思い切り標識でぶん殴られてしまったのだ。スキマの中でアールバイパーは大きくバランスを崩す。何が起きているのかを知らしめるため、オカルトボールを7個リフレックスリングで掴んだまま……。

何処へ、いつまで落ちるともしれない無間地獄。そのスキマの中で今も落下する俺は……ふいに何かにぶつかった。

貴方「これは……オカルトボール。ボールがスキマをブチ破るっていうのか?」

そうだ、この外界の侵略兵器は外の世界のパワースポットで採取された石。それらは幻想を否定し、結界に穴を開けるもの。もしかしたらっ……!

貴方「スキマも一種の結界みたいなものだ! ブチ破ってやる!」

上下感覚も麻痺する中、俺は全速力で進む。バリバリバリと紫色の空間を引きちぎると、光が差し込んでくる。月の光だ。

貴方「うぉりゃーーーーっ!!」

最後の一押し。俺はオカルトボールの力で強引にスキマから脱出した。幻想郷に戻ると今度こそオカルトボールは本来の役目に戻る。つまり、再び俺を外の世界へと押し出そうとし始めたのだ。




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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