こうなったら、アレを使うしかない! ひそかに俺はオプションを周囲で回転させる。そう、オーバーウェポン状態でのレイディアントソード「重銀符『サンダーソード』」である。いきなり剣が巨大化するだなんてことは菫子には予測がつかない筈。ギリギリまで鉄塊を引き寄せて一突きすれば、ひとまずは脅威が去る。その後のことはこの窮地を脱した後に考えればいい。

だが、一瞬だ。サンダーソードが絶大な火力を誇るのはほんの一瞬。オーバーウェポンの弱点は長時間維持させることができない事である。フルパワーの状態で維持できるのは9秒弱程なのだが、今はある程度消耗しているから、さらに短い時間になると考えた方がいいだろう。

貴方「うおぉぉぉ!」

とにかく何もしないよりはずっとましだ。レイディアントソードを突き出し、魔力をアールバイパーに収束させていく。バチバチと魔力がスパークし始める。

菫子「今から何をしようというの? あまりに遅すぎる!」

それはどうかな? さあ、魔力が溜まり切ったぞ。来いっ、鉄塊よ! 後少し、後少し引き寄せて……今だっ!

貴方「重銀符『サンダーソード』!」

ほとばしる蒼い雷。魔力がレイディアントソードに注ぎ込まれ、その刀身が何倍にも膨れ上がる。

菫子「なっ!?」

土壇場で繰り出した一撃。蒼き剣が鉄塊を突き刺したっ! そして風穴を開けてやったのだ。この目の前の脅威に。

貴方「見たかっ。これぞ執念、幻想郷流の戦い方!」

だが、菫子は既に平静さを取り戻しているようだ。ど、どういうことだ?

菫子「やれやれ。貴方、重要なことを忘れているわよ? この鉄塊は元々何で出来ていたかしら?」

こいつはいきなり何を言っているのだ? そんなの菫子が超能力で固めて作ったんだろう。このスクラップ置き場の大量のゴミを集めて……まさかっ!?

菫子「今更気がついてももう遅い。その青い剣は確かに鉄塊に突き刺さった。だけど突き刺さっていない場所はそのまま突き進むだけ」

中央に穴の開いたゴミの塊が突き出されたレイディアントソードをすり抜けてグイグイとこちらに迫り、そしてアールバイパーが風穴の中に、つまり大量の鉄くずに囲まれた状態になる。

菫子「どうやら最後の足掻きも無駄に終わったようね。今度こそトドメよ!」

くそっ、今度こそオーバーウェポンを……。駄目だっ、さっきので魔力を使い果たしてしまった。万事休すか……!



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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