大穴の開いた博麗大結界はその場に居合わせた紫の手によって修復され、大破して黒煙を上げているアールバイパーはというとにとりが回収作業を急いでいるようだ。
そしてこの異変の首謀者たる菫子は今は伸びている。
紫「彼女は、宇佐見菫子は本来外の世界の住民ね。やはり元いた外の世界に帰すべきだと思うわ。霊夢は……見つからないから私が代わりに外まで送るわ」
それが妥当な所だろうと俺も思う。反対者もいないということでそう告げて菫子の手を取る紫であったが、何を思ったか、それを止めに入るマミゾウ。
マミゾウ「まあそう急くこともないじゃろうて。こやつはの、幻想郷に行きたがっておったのじゃ。何の『お土産』も渡さずに帰してしまうなんて失礼だと思わぬか?」
紫「な、なにを言っているの!? そんなこと出来るわけないでしょう?」
訳の分からないことを言いだす化け狸の手を払うと、再び伸びている菫子を抱きかかえる紫。だが、マミゾウは怯まない。
マミゾウ「なんじゃ、賢者と言う割には全然わかっておらんのぉ。こやつはの、こうやって命懸けで幻想郷にやって来たのじゃ。外の世界に帰す前にワシらでそりゃあもう精一杯『歓迎』して、幻想郷流の『観光旅行』とシャレ込ませるのが礼儀ってものじゃないのかのぉ? ほっほっほ……」
それだけ言うと、マミゾウは紫の耳元に顔を近づけるとゴニョゴニョと何かを伝える。紫の表情が一瞬でひきつっているのが分かった。
紫「っ!? え、えげつないこと言いだすわね……。確かに妖怪の恐ろしさを忘れた外界の現代っ子にはキツーいお灸になるでしょうが、そんなこと私だって思いつかなかったわ」
歪んだ笑みで愉悦に浸る化け狸。
マミゾウ「ふぉふぉふぉ、褒め言葉ととらえておくぞい♪ まあ、そういう訳じゃから、ちょいと妖怪を集めないといかんのぉ。ああ、人食いはナシじゃ。殺してしまえばそこでオシマイじゃし、そんなことしてしまったら賢者様との約束を反故にしてしまうわい。生かさず殺さず、妖怪の恐ろしさを骨の髄まで味あわせるのじゃ。ああ、今から楽しみで口元が勝手にニヤけてしまうわい♪」
俺はこの時ほどマミゾウさんを敵に回してはいけないと強く思ったことはなかった。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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