こうして無事に命蓮寺に戻った住職サマと本尊、そして俺。オカルトボールの異変も落ち着き、ようやく命蓮寺周辺にも平穏が戻ってきた。一部を除いて……。
文「ごうがーい! 号外だよー!」
あの後マミゾウ達が集めた妖怪軍団が菫子をこれでもかと脅かして回っているようだが、そこに目を付けた鴉天狗の文は、あろうことかその様子を写真に収めてこうやって号外としてあちこちにばら撒いているようなのだ。
貴方「また外来人の写真を撮ったのか? まったく、いい性格してやがるぜ」
文「えへへ~、だって天狗ですから/// 明日も楽しみにしていてくださいねっ♪」
皮肉などどこ吹く風と言わんばかりに文はあっという間に姿を消してしまった。その新聞は菫子を追いかける記事がほとんどであり、色々なリアクションの顔がカメラに収められている。
白蓮「一輪も噂を聞きつけて菫子さんを脅かしに行っているようです。やり過ぎないようにと釘は射しておきましたから大丈夫だと思いますが……」
こんな日々が何日か過ぎていく。文は毎日のように号外をばら撒いているようだ。やかましいだけの天狗だが、今回に限って言えば実に有用である。そう、平穏を取り戻している命蓮寺ではあるが、実は俺にはマミゾウさんから託された最後の任務が残っているのだ。文の号外は偶然にもその時がいつ来るのかの大まかな指標になっているのだ。
貴方「白蓮、いよいよこの異変に終止符を打つ時が来た。一仕事行ってくるよ」
その時がやって来つつあるのだ。人間である俺は菫子を脅かす動機はなく、コテンパンにしたいかというと、博麗大結界の中で散々ドンパチやったので、今はそんな気分でもない。なので、俺は「歓迎会」には基本的に参加しない方針であったし、そのことはマミゾウさんも了承してくれた。
だが、この案件だけは、マミゾウさんの企画した「幻想郷ツアー」のシメは俺でないと、成し遂げられない。耳元でゴニョゴニョと任務の内容をどう囁いていたか俺は反芻する。
ええっと確か……。
マミゾウ「幻想郷への恐怖心を植え付けた彼奴にオカルトボールを押し付けつつ、外の世界へ放り出す。そういった件もあるのじゃが、その仕事を妖怪賢者ではなくわざわざお主に頼むのには他にもちょっとした理由がある。
ホレ、お主も外来人じゃろう? 外に出たら、時間が来るまで観光でもしているがよい。ワシの方でチョイと細工をしたので24時間は滞在できるぞい。まあこれはワシからのプレゼントじゃと思ってくれい」
そしてマミゾウさんから告げられた俺最後の任務というのは菫子にわざと負けて、その後アールバイパーで博麗大結界を突破し、菫子を外の世界の家まで送り届けるというものであった。わざと負ける過程が必要なのは俺の手にするオカルトボールを全て菫子に渡しつつ、外の世界へと放り出す必要があるからだ。
その際に副作用として俺も一時的に外界に出てしまうが、マミゾウはその機会に外界を(本当の意味での)観光して来いと言い出したのである。本当に粋なことを思いつく化け狸だ。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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