星「○○さーん」

俺はボンヤリと一人で縁側に座って夜空を見上げていた。起きているのか、寝ているのかの境界が怪しいフワフワな意識の中、小さいながらもよく通る声が聞こえた気がした。その声が寅丸星が俺を呼ぶ声であることに気が付くのにはもうしばらくの時間を要する。

星「○○さーん、○○さんってば!」

一際大きな声に驚き、変な声を上げながら返答。夕飯の用意が出来たので俺を呼んだのだが、いつまでも返事がないのでここまで来たのだという。

貴方「すまない、ボーっとしてた」

いまだ気だるい頭を抱えながら、星に手を引かれ食卓へと向かう。


(青年移動中……)


ムラサ「それでは……いただきますっ!」

響き渡るは食材への感謝の言葉。合掌しつつの大合唱。それを済ませてようやく食事にありつける。今日はムラサの大好物であるカレーライス。おかげで彼女は一際テンションが高い。

ムラサ「うまいっ! これぞオフクロの味ねっ。聖ー、おかわりっ!」
白蓮「もう、ムラサったら……///」

凄まじい勢いで平らげて見せる船長。俺はどういうわけか味がよく分からないまま勝手に喉の奥に吸い込まれる感じだ。

おかしいな、どこか醤油の香りがしたり、野菜がゴロゴロと入ったりする白蓮のカレーはプロの料理人の作るそれとはかけ離れてはいるものの、いわゆる家庭の味って感じで俺も大好きな筈なのだ。ムラサの言うとおり、まさに「オフクロの味」ってやつだ。

だというのに、美味しいはずだというのに、まるで食欲がわかない。もう喉を通らないのだ。

貴方「ごちそうさまでした……」

ボソリと食事を終えた旨を伝えると俺は食卓を後にする。

白蓮「ちょっと○○さんっ!」

こちらの様子が明らかにおかしいことに気が付いた白蓮が呼び止めるが、俺は構わず部屋へと籠った。おかしいな、涙がこぼれる。

体調でも崩したかな? ひとまず今日は早く寝よう。




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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