「………………。」
自分の肩を抱いてゆっくりとアームで昇っていくニトリをぼんやりと見つめる。
彼女の言う通り、密漁という手段は間違っていたかもしれない。
だが、これで白蓮は助かる。絶対ににとりにも、命蓮寺の家族たちにもアワビを振舞おう。
そして白蓮を散歩に誘って……
に「ぷはっ!」
「ぷはっ!…はぁ…はぁ…」
に「もう大丈夫だ。さっさとずらかろう!もうここに用は無い……!?」
その時の○○とにとりの行動に落ち度は無かった。
お互いに息が出来ない状況なら水面に出ようとするのはまったく普通の行動だし、安全に浮上できるアームという道具があれば使用するのは当然のことだ。
ただ、ふたりとも水面に浮いていたものを考慮していなかった。
空気をバンバンに詰めた浮輪にはめ込んで浮かべておいた、アワビが大量に入った籠。それが二人に向かってなだれ込んできたのだ。
に○「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
……二人はまたしても、海中に沈んでしまった。
それも全身に重しを大量に付けられて。
「ゴボボ……」
に「ガボ……」
ふと、海底の岩の切れ目に何かを見た。
に「(○○は確か言ってたな……この町での密漁は「芸術」だとか何とか……それ、ワナなんじゃないか……?)」
岩に切れ目にあったのは、「白骨」だった。
に「(アワビたちの修正を知ったものが、密漁をしようとする輩をアワビまみれにして沈めて、そして溺死させるために張った罠…○○が調べた情報そのものがワナだったんだ……)」
そしてそこにある白骨は二人よりもずっと前に密漁をし、失敗した者たちの遺骨……
に「………………ふん」
に「最初から殺す気マンマンだったし、そしてその方法も分かった……よーく分かった!」
「!」
に「つまりここの黒アワビはごっそり頂いて行くってことだけどね!私を甘く見ないようにね!」
にとりは重い腕を上げ、掌を岩に向けた。
に「嬉しいな、○○。あそこにいるよ……あいつが!!」
『水を操る程度の能力』でクネクネうごめく生き物を引き寄せる。
「(あれは……アワビの天敵の……)」
に「タコだッ!!このまま引き寄せるッ!!」
そしてタコは目の前にいる二人の人間に触手を伸ばし、全身にくっついた「ごちそう」を剥ぎ取りにかかった…
にとり「うまくいけよ……」
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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