???「南無三!」

珍妙な掛け声と共に軽い衝撃、そして瞬間移動の類なのか、紫とは違う女性が突然目の前に現れた。次の瞬間には俺は地面に這いつくばっていた。久々の新鮮な空気を必死に取り込もうとしながら。せき込みながら何度も呼吸した。

さっきの女性は俺をかばうように立ちはだかっていた。紫色と金色のグラデーションが見事なロングヘアの女性はにこりとほほ笑む。柔らかな表情に思わず安堵する。

紫「貴女は……『命蓮寺』の住職『聖白蓮』ね。これはどういうつもりかしら? 私は今から人間の身でありながら異変を起こそうとしたあさましい人間に罰を与えようとしたところなのだけれど」

紫が凄むが聖白蓮と呼ばれた女性は少しも怯まない。

聖「話は聞かせていただきました。先ほどの異変は自らの意思とは関係なく発生したもの。この方はそう言っていましたよ。それなのにこの人を罰するのは、少しばかり勝手が過ぎるのではありませんか? これでは『死刑』ではなくて『私刑』ですよ」

見るからに険悪なムードだ。紫は扇子を取りだしこちらに向けた。対する聖白蓮も光る巻物を手にし、にじり寄る。

紫「それでは決めましょう。決闘……、幻想郷流の決闘『弾幕ごっこ』でこの人をどうするか」

聖「貴女の強大さは知っている。でも……、それでも私は精一杯抵抗します。出会ったときからまるで変わっていな。誠に独善で、土豪劣紳であるッ! いざ南無三——!」

少なくとも自分は介入できないことが分かった。乱れ飛ぶ弾、弾、弾。聖さんが押されているようだが、こちらを振り向き、きりりと一言。

聖「何をしているのです? 今のうちに逃げてください。私が紫を足止めしている間に。さあ! 道なら大丈夫、この巻物で正しい道を描きました。この模様を追いかければ貴方は助かります。さあ、私に構わず逃げて!」

反論の余地はない。少しカッコ悪いかもしれないが……命には代えられない! ぼんやりと浮かぶ巻物の模様をなぞるように自分はひたすらに走った。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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