その頃、勝手に持ち出されたアールバイパーは……
鉄の塊はリュックサックの少女に運ばれている。むき出しではなく大きな布に被せられており、中身は見えないようになっている。丸太で作られたイカダがその鉄の塊を乗せて川を遡っているのだ。ただのイカダではなく、スクリューが付けられているようだ。
自動で動くイカダに乗り、リュックサックの少女はにんまりと笑みを浮かべていた。この鉄の塊も彼女にとっては好奇心をくすぐる宝の山なのだ。早く分解したい、動くのならば修理したい。
その上空で爆発が起きていた。少女は「ひゅいっ!」と奇妙な悲鳴を上げると空を見上げる。女性二人が魔法弾を撃ち合っているようだ。空間を切り裂かれた跡と、奇妙な模様の光のライン。彼女にはこの二人に見覚えがあった。八雲紫と聖白蓮である。
???「どうしてまたあんな強力な二人が戦っているんだ……?」
外界から幻想郷に迷い込んだ戦闘機とその乗り手である外界の人間の存亡をめぐる戦いだなんてこのリュックサックの少女に分かるはずもない。
聖「魔法『紫雲のオーメン』っ!」
聖が強力な攻撃を仕掛けたようだ。撃ちだした弾が流れ弾となり川に着弾した。ドボンと爆発を起こし、イカダを大きく揺らす。リュックサックの少女は頭を抱えてうずくまった。
???「冗談じゃない! あんな戦いに巻き込まれたら命がいくつあっても足りないよ!」
イカダの速度を最大限に上げて、逃げるように川を進む。その間に鉄の塊が眩い光を放っていた。今の衝撃が原因のようだがどうすればいいのかなど分かるはずもない。
???「わわわ……、一体全体どうしたっていうんだよーぅ!」
少女がオロオロしているうちに間もなく光は引いてしまった。呼びかけたり軽く叩いたりするが反応はしない。
とんでもないものを拾ってしまったかもしれないとリュックサックの少女は少しだけ後悔し、だがすぐに未知のモノに対する好奇心がその後悔の念を押しのけてしまった。全速力で家を目指す彼女。
今運んでいるモノこそが紫と白蓮が争っている原因であることも知らずに。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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