がむしゃらに走り続けた。そして森林地帯を抜け、更に続く巻物の道を行く。
道は巨大な建物のところで終っていた。なんとも神々しい。これはお寺なのか?
そういえば聖さんはお寺の住職だとか言われていたな。住職だっていうから頭を丸めたおじさんを連想したけれど聖さんは綺麗だったな……。
そう感慨に浸りながらも、自分はその門をくぐった。これでひとまずは……、あの妖怪に追いかけ回される事もなくなるだろう。
道の左右に灯篭がいくつも並ぶ。小さな女の子が自らの身長と同じくらいのホウキを振り回しているが……あれは掃除のつもりなのだろうか。と、その子がこちらに気がついたようだ。テコテコと歩み寄って来るがその姿にギョっとした。
背丈は低いのだが、髪の色は緑色、そしてなによりも気になったのが犬のような耳が生えていること。彼女がくわっと大きな口を開いた。
???「こんにちはッ!!」
予想外の大声に思わず尻もちをつく。悲鳴を上げながら。
さっきまで妖怪「八雲紫」に追いかけ回されていたのだ。彼女は人間の女性にしか見えなかった。そして今挨拶をしてきた子も犬耳を除けばまったくもって人間の姿である。でも見た目に惑わされてはいけない。それはさっき嫌というほど思い知った。が、大声妖怪は尻もちをついた俺に襲いかかることはなく、首をかしげていた。
???「あれれ? ああ、もしかして『こんばんは』だったかな?」
彼女からは敵意は感じない。なんだ、挨拶をしたかっただけなのか。いや、油断するな。昔話では名前を呼ばれて返事をしただけで瓢箪に閉じ込められるだなんてものもあったぞ。きっと挨拶を返したら良くないことが……。
自分はまだ何も返事できないでいた。
→
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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