いよいよここまでかと俺は胸に手を当て神とも仏ともわからないがとにかく超常的な存在に祈る。

……ん? 胸のあたりに何か固いものが。懐をまさぐってみるとそこには永琳から譲り受けた「お守り」があったのだ。確かこの中には「紺珠の薬」の小瓶が入っていたはず。

そうだ、俺には現状を何とかする術が残されていた。本来は月面戦争の最中、バイド化しそうになった自らに使おうとしていたが、依姫がバイド化の呪縛から解放してくれたおかげで使わずじまいだった「もしもの時の薬」。

これを飲んで今の失敗をなかったことにして……いやいや、俺が思いついたのは本来の使用方法ではない。「紺珠の薬」にはそれとは別に副作用が存在する。その効果は確か……。

俺は永琳が薬の説明をしていた時のことを思い出した。「『紺珠の薬』が持つ穢れを祓う効果は実は予期していない副作用であり、しかも効果は制御がきかない上に強力」というもの。

そして俺はこのゾンビの正体がなんとなくわかった。道路標識を振り回したり電車を呼び出したり、そして何よりも目玉だらけの暗闇の空間の主といえば……。

だから俺はこの「紺珠の薬」を自分にではなく……。

ウガァァァァ!!


久しぶりのご馳走にありつこうとしているゾンビに食らわせる!

貴方「肉料理の前にはオードブルがつきものだぜ? これを食らえっ、八雲紫!」

俺にかぶりつこうとしたゾンビと化した紫の大きな口に小瓶の中身を思いきり流し込んでやった。余程飢えていたのだろう。彼女は何の疑いもなしに薬をゴクンと飲み込んだ。

よし、大人しくなったぞ。薬が効いているようだ。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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