ミツクリザメ型の戦艦、その目玉からおびただしい弾幕が発せられる。丸い形のもの、細長いもの。戦闘が始まるや否や、紫色の龍は前方に躍り出ると、衣玖を庇うようにとぐろを巻き始める。
その隙間から衣玖はドリル状に巻いた羽衣を手に、ミツクリザメの胴体に突っ込み、そのどてっぱらに手痛い一撃を喰らわせた。怯むミツクリザメ。だが、自慢の角を紫の龍に突き出しつつ、突き飛ばす。
完全に孤立した衣玖に狙いを定めるミツクリザメ型戦艦であったが、この後意外な行動を取り始めたのだ。
頭部と胴体、そして尾っぽが割れ始めると、彼女を三角形に取り囲むように単独で行動を始める。
衣玖「私を拘束するつもりでしょうか?」
言葉はないが、すぐに行動として返事が返ってくる。3つに分離した敵戦艦はそれぞれを繋ぐように電撃を放ち、逃げ惑う衣玖を狙い撃つように弾を放つ。紫の龍が外から突撃するが、びくともしない。
衣玖「やはり、そういうことでしたか。あちらの大きい体を持った龍ならば確かに有効な攻撃だったでしょう。ですが、貴方の攻撃は幻想郷では通用しない。ええ、ここで流行っている『遊び』にあまりにそっくりなのです」
静かに挑発する衣玖。それに腹を立てたのか、再び3つの分離体は合体をすると。その頭部を赤色の光らせ始めた。間髪入れずに赤色のビームが衣玖を覆わんと迫ってくる。
衣玖「この威圧的なビームは……っ! 速いっ、避けきれない!」
だが、被弾するよりも早く紫色の影が、再び躍り出ると、その長い体を盾に極太レーザーを受け止めてしまった。紫色の身体がえぐれ、中身が少し見えてしまっている。
ミツクリザメ型戦艦は仕留め損ねたことに腹を立てたようで、再び赤いビームを放つ。しかし、今度は紫の龍も何か考えがあるようで、砲台を敵に向け始めた。
衣玖「この音は……心臓の鼓動?」
立て続けに「コン、コン、コン」と甲高い音が響く。それは恐らく紫の龍に流れる血潮の音。そしてミツクリザメ型戦艦の放つ赤いビームが直撃する寸前に、まるで槍のように鋭い強烈な光、つまりビームが爆ぜたのだ。
赤いビームを切り裂いたは金色に光るビーム。金色の槍がミツクリザメを正面から貫き、そして爆散させた。
追手である敵戦艦を轟沈させたことを確認すると紫色の龍は力なく墜落していく。今のビーム攻撃で力を使い果たしてしまったのだろう。それを追いかける衣玖。何に巻き込まれてしまったのか、何が起きようとしているのか、見定める為に……。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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