-敵襲……ガガ! 上空……リオ……ガガガッ! げいげ……ッガガガ! 対空……-
人知れず、無縁塚に火の玉が落ちる。周囲をズドンと振動させ、それきり火の玉は冷えて動かなくなる。
-第三……ガガガッ! 陥落し……こちらも……もたな……! ダメですっ……ガガッ! まるで効かな……!-
それでも録音されていたのか、悲痛な叫びが激しいノイズの中響き渡る。この惨状を知らしめるため。だが、その声を聴くものはここにはいない。
-……ディミ……ン隊……の……号、完……ロス………し……! 作……失敗……す!-
この声はブラックボックスのものだろうか? 航空機の類であるようだが、何よりも特徴的であったのは大きな一本腕がくっついていたこと。これだけ朽ちてもそのシルエットが崩れることはなかった。
-すぐに……魚……迫……ガガガッ! お前だけでも……逃げ……ガガガガガ!-
どうやらどこかで戦争をして、敗走していたところなのだろう。だが、パイロットは途中で死んでしまい、炎に焼かれてしまったか、あるいはすでに脱出したかのどちらかであるらしく、生命反応は見られない。
-とんでも……ガガガッ! ヤツ……れなき我が……蹂躙……。まさに『穢れを司るもの』、『死を司るもの』……-
それきりボイスレコーダーは雑音しか発さなくなり、そしてある時を境にプツリとそれも途絶えてしまった。
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