カツンカツンと靴音を反響させながら、少女のあどけない声が響いてくる。

フラン「ねぇねぇ、どこいっちゃったのー。もっと遊ぼうよー」

しまった、フランドールがこの部屋に戻ってくるんだ。すぐにでも脱出しようと、アールバイパーの速度を上げるが……いや駄目だ。リデュースしたアールバイパーや美鈴、衣玖さんは何とかなっても図体のでかいダークヘリオスがあの狭い空間を素早く移動できる筈がない。今となっては仲間ゆえに見捨てるなんてことは出来ない。ではどうするべきか……?

貴方「隠れてやり過ごそう!」

部屋にいることを悟られないようにここを素通りさせるんだ。その為には……やっぱりダークヘリオスを何とかしよう。ベッドのシーツを広げ、とぐろを巻いたダークヘリオスにかぶせる。そして美鈴と衣玖さんは……。

貴方「アールバイパーに乗りこめ。怪しげな影は少なければ少ない方がいい」

一時的にリデュースを解除すると、キャノピーを開き、二人をコクピットへと引っ張る。あとは再び縮小して……ぬいぐるみにでも紛れておこう。散乱しているクマやウサギのぬいぐるみに紛れ息をひそめることにした。

鋭いカツカツという音が大きくなって、そしてある時を境にピタリと消えた。歩みを止めたのか? いや違う、部屋に入ってきたのだ。カーペットが敷き詰められており、ここでは足音がしない。

衣玖「ぎゅうぎゅう……」

アールバイパーは二人乗り。俺の他に美鈴と衣玖が乗り込んでおり明らかに定員オーバーである。先に乗り込んだ美鈴は後部座席に無事に入れたが、衣玖はというと俺の上半身にしがみつくような状態だ。

これでは前が全然見えない上に、柔らかいものが顔に当たる。俺は俺で衣玖さんが後ろに倒れ込んで不意にスイッチを押したりしないようにしないといけないので、ギュっと彼女の体を支えなくてはならないのだ。この体勢は色々とヤバイ。

衣玖「ひゃんっ/// 口を動かさないでください!」

コミュニケーションを取るのも一苦労だし、これでは前が見えるのは美鈴くらいだ。それにしたって完全に視界が晴れているわけではない。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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