先程までアールバイパーのいた場所に次元の壁を突き破り飛び出してきたのはギンザメのような姿をしたシーマ艦「ディメンションダイバー」。コイツは亜空間航行ユニットを搭載しており、亜空間に潜り込んだり出て来たりを繰り返す厄介な戦艦である。

夢の中という普通の世界とは違う次元へ逃げ込んだ月の民に追撃を仕掛けるにはこれ以上ない逸材であろう。

さて、こんな奴を黙って見過ごすわけにもいくまい。グリッドロック戦での汚名を返上するべく、アールバイパーを一気に接近させる。

依姫「待つんだ○○。あのサメ野郎の傍に誰かいる!」

なんだと? 後ろからかけられた声に反射的に引き留められ、銀翼は動きを止める。そしてディメンションダイバーの口周りをよく観察してみると……二つの姿が見えてきた。

あろうことかディメンションダイバーの口に青色の何かが咥えられていたのだ。鎧のように鋭利なフォルムはシーマ艦の顎にしっかりとホールドされており特徴的な大きな一本腕を必死に振り回してもとても外れそうにない。

豊姫「あれはエンディミオンよ! それじゃあ、あの中に逃げ遅れた玉兎がっ……!」

そしてもう一つは真っ白い羽根を羽ばたかせている少女のもの。エンディミオンを救い出そうとディメンションダイバーの顔面に弾幕を撃ち込んでいくが、びくともしていないようである。逆にシーマ艦が大きく頭部を振り回すことで白銀の羽を持った少女は地面に叩きつけられてしまう。

依姫「近衛兵が……。ということは、最後まで月に残っていた筈の……」
貴方「こいつ、羽が片方にしかないぞ!」
依姫「ええっ、それじゃあやっぱりサグメなの!?」

俺は地上で拾った妙なメッセージが込められていたオカルトボールのことを思い出していた。自分の星を助けてほしいと祈るようにお願いしてきた少女には鳥の羽が生えていたが、何故か片方だけであった。では地球に救難メッセージを送ったのはこのサグメと呼ばれた少女……?

そのことが頭をよぎった瞬間、俺は再び反射的に銀翼をフルスピードで前進させていた。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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