月の民B「ひいいっ、穢れがっ! 穢れがぁー!」
月の民C「殺される、殺されてしまう!」
蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う月の民の中心が再び盛り上がり、ギンザメの頭が飛び出した。飛び出したかと思うとすぐに地面の下に消えて、時折背びれを見せつけて亜空間を泳いでいることを知らしめている。
しばらく顔を出したままと思ったら口から滴り落ちる血を見せつけて恐怖心を煽っているようだ。血なまぐさい息がこちらにまで吹きかかってくる。
月の民D「こいつ、わざわざ一人ずつ喰らっている。恐れおののく我々を楽しみながら殺しているんだ、そうに違いない!」
パニックに陥り、秩序を失った月の民。そんな右往左往する彼らにもみくちゃにされている依姫と豊姫の姿をようやく発見した。
依姫「みんな落ち着けっ! 恐怖を抱いたらそれこそ奴らの思う壺……姉様っ、こいつらを大人しくさせてくれ!」
豊姫「そんなこと言っても、さっきぶつかったときに私の扇子を落っことしちゃって……」
なるほど、今ので豊姫の言おうとしていた月の軍隊の弱点が分かった気がした。シーマという穢れを恐れて司令官が逃げ出してしまうのだ。結局指示を出す者のいない中、玉兎達が散り散りになって戦っても結果は見えている。つまり月の民を司令官にした結果、規律は生まれたが、より穢れに弱くなってしまったという事だろう。普通の敵を相手するのなら気にならないだろうが、何せ相手は「死(穢れ)を司るもの」である。
依姫「姉様の能力で安全な場所に瞬間移動させてよ!」
豊姫「安全な場所ってどこよー? 急に言われたって困るわー! あっ、扇子あった……って、いたぁい! 誰か私の手を踏んでるわよー!」
だめだ、綿月姉妹は逃げ惑う月の民に翻弄されて(そしてディメンションダイバーからの攻撃から彼らを守らなくてはならなくて)とても戦闘どころではない。
確かに依姫ならシーマと互角以上に戦うこともできるだろう。だが、彼女がここで思い切り力を振るったら月の民が巻き添えになるのは火を見るよりも明らか。強すぎる力が逆に足かせとなってしまっているのだ。
朱理「ここはマスターの出番ね。蜂の巣にしてやりましょ!」
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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