(幻想郷某所?)
いつものように電車に揺られ、いつものように不思議な場所に出かけ、不思議を暴く。たった二人のオカルトサークル、その活動の一環だ。私はその無二の相棒の肩に寄り掛かり舟を漕いでいた。ふわふわの長い金髪が鼻の中に入り思わずくしゃみをしてしまう。
金髪の相棒「んもぅ、しょうがないわね。それよりも次の駅じゃない?」
もうそんな時間になるのか、私はずれた帽子を直すと駅を降り、今回の目的となるスポットへと歩みを進めていく。
金髪の相棒「ここね。さあ、日が暮れないうちにパパッと済ませちゃお?」
そう言って相棒は寂れた鳥居を通り抜けようとする。だが、どういうわけか、私の足が止まった。
金髪の相棒「どうしたの?」
なんだろう、得も言われぬ恐怖心を煽られる。普通は私じゃなくて相棒がそういうのに敏感で私に教えてくれるというのに。私の気持ちなどつゆ知らず、キョトンとしながら我が相棒はこちらに手を伸ばす。そ、そうよね。相棒がこんな呑気な反応を見せてるんだから危険なんて何もない。そう言い聞かせて私も恐る恐る手を伸ばし……。
その直後、私は声にならない悲鳴を上げていた。巨大な黒い腕が鳥居の奥から伸びてきて私の相棒につかみかからんとしていたのだ。
???「……っ!」
「後ろっ!」私は確かにそう叫んだはずであったが、声が出ていない。そのまま相棒は背後の異変に気が付かずに黒い腕に捕まると、奥へ奥へと引きずり込まれていく。
???「……っ!!」
相棒の名前を必死に叫び、黒い腕を追いかけるべく私も鳥居をくぐった。鳥居の奥にはいくつもの鳥居があり、くぐるたびに意識が朦朧とする気がする。うぅ、普段の運動不足がたたったんだわ。だけど追いかけなくては。
少しずつ距離を詰めていく。よし、もう少し頑張れば追いつける。だが、突然地面が大きく揺れると私は足を取られ転んでしまう。ぐっ、膝を擦りむいてしまった。そんな私を尻目に悠々と立ち去っていく黒い腕。
揺れはいつまでも収まらず、なかなか起き上がれない。みるみる小さくなっていく相棒の名前を何度も叫ぶ。ここで見失ったらきっともう会えないんじゃないかと怖くなって。
「……っ! ……っ!!」
声が出ない、だけれど叫ぼうと何度も試みる。ああ、もうあんなに遠く小さくなって……。やだっ、こんなお別れなんて、絶対に……!
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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