まさか本当にこの空中空母に乗ることになってしまうとは。あの後本当にアールバイパーは俺と引き離され、今は他の色とりどりの戦闘機たちと一緒に修理や細かいメンテナンスを受けているところであろう。

一方の俺達はというと会議室らしき部屋に通されポツンと待たされている。簡素なつくりではあったが、だからこそ壁に飾られているロンゲーナー大佐の肖像画が際立って見えた。

貴方「しかしまあ、あの大佐にああやって直訴するだなんて随分と肝が据わっているんだな」
衣玖「えへへ、だってちょっと顔が怖いですけど、ただの人間のおじさんみたいですし」

そりゃまあ人間ではあるだろうけどさ……。あと、軍人であるということが幻想郷の住民には理解が出来ないらしい。確かに大佐から軍人の肩書を取ったらただの厳つい顔したロン毛のおじさんに……いやいや、やっぱりならないよ! これは衣玖さんの肝っ玉がとんでもないだけだ。

底知れぬ度胸を持つ少女に驚きながらも、更に待つこと数分……。ようやく大佐が部屋に入って来る。いや、大佐だけではなく金髪の女性も一緒にいるようだ。赤ぶちの眼鏡の似合う白衣の美女であったが、よく見るとその肌に不思議な文様が浮かび上がっているのが見える。彼女は人間ではない。ロボット……厳密にいうと「エレメントドール」で間違いないだろう。

ロンゲーナー大佐「君の銀翼ならば何も心配することはない。エンジニア達によって丁寧にメンテナンスされている頃だろう。全ての工程が済めば、新品同様にピカピカになって貴公の元に戻ってくる。さて、ここに君を呼びつけた理由だが……」
貴方「大佐、さっきも言った通り首領蜂隊に入るつもりは毛頭ない」

さっきよりも強い語調で拒絶する。それを見た大佐は俺から目を逸らし一言。

ロンゲーナー大佐「ふむ、まっすぐな性格が見て取れる。君の事は事前に色々と調査させてあるのだが、まさにその通りだな。実に愉快である。そんな貴公の性格ゆえに今回は数あるエレメントドールの中でも『朱理』を連れてきた。君の好みに合致する筈だ」

こいつまさか……俺がエレメントドールを『抱く』ように仕向けて懐柔するつもりなのか!? 白蓮さん、雛さん、そして今俺の横にいる衣玖……。確かに今までお世話になってきた少女は皆中々に大きいモノを持ってる傾向にあったがそんなところまで調査を?

ロンゲーナー大佐「真っ直ぐな性格、冷静さの中に隠し持った攻撃性、過去の戦歴を重要視する……。これらはいずれも朱理の性質と合致する。いいコンビになれるだろう」

実際は違った。そうだった、この男はどこまでも戦闘狂い。そのような手段を取るのは考えづらいではないか。

ロンゲーナー大佐「いや、君を首領蜂隊に入るつもりはない。今後の作戦を考えるとむしろそっちの方が都合がいいのだよ。というわけで取引といこうではないか。あくまで対等な関係で我々と一時的に手を組む。それなら文句もあるまい」
貴方「あくまで対等な関係。分かった、取引に応じよう。幻想郷側だけではシーマを退けるのは不可能だからな」

一瞬だけ初めて大佐がニンマリと笑ったような気がした。いや、あくまで気がしただけなので今表情を伺ってもいつもの仏頂面であったが。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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