???「なんなのよコイツ!?」
建物から出ると巨大な空飛ぶタコと鉢合わせしてしまったのだ。8本の脚から火炎を放射しておりおおよそ友好的とは言えない。反射的に私はがむしゃらに逃げ惑った。しかしこの選択を私は後で大きく悔いることになるのだ。
周囲は見渡す限りの竹林になっており、しかも真夜中。満足に星さえ見えないほどに竹は覆い茂っており、まともな明かりがないのだ。こんな真っ暗な状態なので私は方向感覚がマヒしてしまったのだ。つまり迷子。それでもなんとかタコから逃げようと竹林を突き進むと開けた場所に私は出てきていた。やった、出口……じゃない。
その周囲だけは竹も生えておらず、代わりに妙にツヤツヤした黄金のピラミッドがデンと構えていただけであった。んもぅっ、ぬか喜びさせて! 私はピラミッドを無視してさらに前へと進む。後ろからはタコが空中を泳ぐように私を追いかけまわしている。
今度こそ開けた場所にたどり着いた。だが、そこにもピラミッドがあるだけで出口ではない。再び私は竹林へと足を踏み入れる。走り続けて息も切れかかった頃、また開けた場所に出てくる。足がもつれ倒れ込むように竹林から脱出する。やった、今度こそ……
???「そんなっ!」
だが、ここもピラミッドの広間。いや、これはまさか……。私、同じ場所を堂々巡りしているんじゃ?
しかしじっとするわけにもいかない。タコが追いかけてくる。逃げ惑う私はついに足を取られ転倒してしまった。うぅ、もう起き上がれない……。
ついにタコの怪物に追いつかれてしまった。もうだめだ……。ぽろぽろと涙がこぼれる。
???「誰か、誰でもいいから助けてよぉ……!」
心の底からの叫びはあまりに弱弱しかった。こんな辺鄙な竹林に助けなんて来るはずない。私は半ばそう諦めていたのだ。だが、希望は潰えていなかった。突如タコの身体を貫いたのは弾丸。あの遠くでボンヤリと見える空飛ぶ影は戦闘機のもの。戦闘機はあっというまにタコの怪物の目の前に躍り出ると、今度は太いレーザー砲をお見舞いする。ユデダコのように真っ赤になったタコの怪物はそのまま爆散していった。
???「たすかった……」
常識を逸脱する出来事の連続で私はペタリとその場に座り込んでしまった。タコから私を守ってくれた戦闘機はそのまま周囲の竹林を焼き払い、道を示したのちに、漆黒の空へと飛んで行ってしまった。
???「そうだ、メリーを探さないと。こんな大変なことになっているんだもの。一人ぼっちじゃ心細い筈」
よいしょと重い体を持ち上げて、竹林から出ると当てもなくさまよう。夜明けが近いのかわずかに周囲が明るくなった気がした。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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