それを説明してもらおうとした矢先、依姫が戻ってきた。というか彼女はどこに行っていたのだろうか?

依姫「ここ最近で、月の軍隊の在り方を変えてね。サボってばかりの玉兎に任せっきりにするのをやめて玉兎の兵隊と月の民の司令官による混成部隊にしたの。玉兎を引き締めて規律が生まれたのはよかったんだけど、『穢れ』を極度に恐れるという月の民の弱点がアキレス腱となったのよ」

それは「死」つまり「穢れ」を司るものたるシーマとの戦いでは特に不利になるということに繋がったのか。

豊姫「もちろん、私達もそんな状況に陥っているのは知っていたから対策を講じたわ。愚かにも月の都を侵略しようとした勢力が前にも出てきて、その時は軽くあしらったのだけど、そいつらの技術を流用して大きな一本腕を携えた空飛ぶ鎧『エンディミオン』を……」
朱理「空間の異常な歪みを感知。敵が来るわ!」

敵? エレメントドールが強く反応するということはシーマか? 逃げ込んだ先で襲われたとあってはひとたまりもない。俺は銀翼に乗り込み魔力レーダーを覗き込む。

貴方「この広場の傍にいる! だけど姿が見えない。隠れているのか?」
朱理「この卑怯者のタマナシ魚野郎め! 近くにいるのは分かってんのよ。姿を現しなさい!」

膨大な魔力は俺達のいる広場で強く渦巻いている。だが、姿が見えない。目視で周囲を確認する中、真っ先に異変に気付いたのは依姫であった。

依姫「真下だっ! お前達、ここから離れろ!」

その直後、地面が大きく避けて、鋭利な刃物が突き出て地面を切り裂き続ける。いや、刃物というよりも魚の背びれ? まるでサメが獲物を見つけて囲い込むように広場周囲をグルリと回っているのが分かる。攻撃を仕掛けておびき出そうとしたが、背びれはすぐに地面の下に隠れてしまった。次はどこに出てくる……?

朱理「マスターが狙われているわ! すぐに移動して!」

反射的に銀翼を発進させると、先程まで俺のいた場所の空間が大きくねじれ、そしてぽっかりと大穴が開くと、大型の魚がアールバイパーに食らいつかんと飛び出してきた。まるで海から飛び跳ねるように、次元の壁を突き破ったのはギンザメの姿をした金属生命体であった。

貴方「『ディメンションダイバー』……!」



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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