飛行バイクは戦闘機に比べると圧倒的にコンパクトであり、他の戦闘機の陰に隠れて飛行することが出来ました。しばらく息をひそめ、人気がなくなると私は動き始めます。でも、先程から息が荒い。今になって思えば当然でしょう。何せ今の私は軍事施設に乗り込んで機密に触れようとしているのですから。

だというのにここは恐ろしい程に警備の人が見当たりません。時折首領蜂隊のパイロットらしき人や彼らのパートナーであるエレメントドールが通りかかる姿を目撃しますが、特に警戒らしい警戒はしていないようですね。それが逆に奇妙にも感じられました。

確証を得たらすぐにここは離れましょう。○○さんや衣玖さんがここに招かれたそうですが、とても居心地が良いとは言えない場所です。そう思いつつ通路を進んでいると私はついに見つけたのです、あのロンゲーナー大佐を。

彼は周囲の様子を伺いながら、人気のない部屋に入り込んでいきました。大佐以外にもう一人いたようですが、大きすぎる体格に隠れてその姿はここからは確認できませんでした。こうなったら部屋の中を覗き込むほかないでしょう。

周囲に人の気配がないことを確認すると、私は大佐の入っていった部屋に耳を傾ける。神奈子様、諏訪子様、どうかわたしをお守りください……。

やっぱり誰かがいる。だけれどロンゲーナー大佐の声が大きすぎて、もう一人の声が全然聞こえません。

ロンゲーナー大佐「幻想郷という場所もなかなかいい場所ではないか。気に入った」

他愛のない話……? いや、それならばわざわざ人目を確認してしかもこんな部屋に入ったりはしない。何かしらの密会と考えるのが妥当でしょう。

ロンゲーナー大佐「ああ、○○か。なかなか印象の良い青年だよ。君が惚れこむのも分からんではない」

○○さん? 今確かに○○の名前が出てきましたよねっ!? 彼をどうするつもりなんでしょう?

ロンゲーナー大佐「もちろん、しっかりと隅々までメンテナンスしておいた。アールバイパーは思う存分戦えるだろう。この作戦をしくじってもらっては困るのでな」

 大佐が話し相手の肩にポンとその大きな手を置く。あの大きな体が動いたことでようやく話し相手の姿がここからも見えましたが、その相手に私は思わず声を上げてしまったのです。

早苗「そんなっ……! どうして貴女がここに!?」

思わず私は口をつぐんだものの、時すでに遅し。大佐の眼光が部屋の外の私を捉えている。しまった、見つかった!

ロンゲーナー大佐「捕えよ!」

何処までも淡々と冷徹なたった一言。逃げなくちゃ! 咄嗟に米粒型の弾幕をまき散らし、怯ませると私は脱兎のごとく去る。

この事を○○さんに伝えなくては。やっぱりロンゲーナー大佐を信用するべきではなかった、しかもとんでもない人と手を組んでいる。全ては仕組まれていたんだ。全ては……。

頼みの宝塔型通信機もジャミングされているのか、彼が電波の届かないようなところにいるのか。まったく繋がらない。ここを抜け出さないことには伝えることができない。

早く脱出しなくては。早く……!



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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