後に残されたのはその依姫の姉であるという豊姫のもの。先程自らの妹にポカリと叩かれた場所をさすりながら、俺達に向かって手まねきしている。
豊姫「こっちよ。私が声をかければ大体は集まるけど、そのためなら広い場所が必要だものね」
そう言われて招かれた広場に俺は永琳から頼まれた薬を取り出す。程なくして無数の月の民やら玉兎(月の民に仕える召使いのような存在であり、いわゆる月の兎。鈴仙の仲間のようなものだろう)が集まり、これまた礼儀正しく列をなした。
月の民「おお、龍神様の救いじゃ!」
衣玖「えっ、いやあの私はそのものではなくて……」
豊姫が慕われているからか、あるいは衣玖さんの風貌があまりに目立ったからか、ここに逃げ込んだ月の民は大体集まったであろう。すぐ傍にはダークヘリオスもいるのだが、どういうわけか恐れられていない。もしかしてあっちを龍神様と間違えているのではないだろうか……?
綿月姉妹に仕える玉兎もやって来たので、豊姫は彼女に切り盛りを任せ、俺と向かい合う。
豊姫「あの堅物の依姫が地上人を気に入るなんてね。うーん、戦い方が似てたからかな? 自分ではない存在の力を借りて戦うし、何よりも刃を振り回すし」
そういえば神降ろしがどうのこうのとか言っていたな。アールバイパーの兵装もある意味神降ろし? いやいや、そんな大層なものではない筈だ。依姫はもっと次元の違う強さ、そして能力を使いこなすのだ。何よりバイド化を治療してしまうなんてジェイド・ロス提督が聞いたら驚愕すること間違いない。
だけど、そんな依姫がいた月の都もシーマに敗れてここまで逃げ延びているのだ。それだけ奴らが強かったのか、それとも……。
貴方「あんなに強い妹さんがいるのにシーマ、海洋生物型金属生命体に敗れてしまったのか?」
豊姫「もちろん依姫はあの魚達には引けを取らないし、何機か撃墜もしているわ。だけど、あまりに数が多すぎたの。それに、月の軍事が抱えていた小さな弱みが重なって致命的なものになってしまったというのもあるわ」
覆りようのない運命を前にただただため息といったところか。アンニュイな表情を見せた豊姫はグリッドの向こう側の月を眺めながら力なくため息。月の軍隊が抱える致命的な弱点?
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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