それは一瞬の出来事であった。どこからかゴーレムの一つ目をクナイ型の弾が狙撃したのだ。徹甲弾だったらしく、目に突き刺さった直後に爆発を起こしていた。さすがの白蓮も察しが付く。今ゴーレムを亡き者にしようとしたのは彼が言う所の「あのお方」、つまり蓮子と自分の命を狙う存在であることを。

白蓮「どこにいるのですっ? 私はここですよ。隠れてないで出てきなさい!」

両手を大きく広げながら、声を張り上げ周囲を見渡すが、それらしき影は見当たらない。その足元では、かすれた声で目を失ったゴーレムは弱弱しく声を上げる。

ゴーレム「香霖堂だ……。アイツは香霖堂で密会をしていた。そこに行けば何かわかるかも……な。へへへ、一矢報いてやったぜ……」

苦しげに太い触手二つを空に掲げ、恐らくは最後の力を振り絞ったのだろう。先程よりもはっきりとした声で一言。

ゴーレム「ゴーファー様、万歳! バクテリアン軍に栄光あれ……!」

ついに力尽きたのか、触手が、そしてその直後に本体が爆発を起こし跡形もなく消え去ってしまった。

白蓮「香霖堂……ですね。それに信じがたいですが裏で手を引いているのは『八雲』の名を持つ存在だったようです」
蓮子「やく……も? ええ、確かにあの脳味噌の化け物はそう言っていました」

外来人である蓮子にこの大妖怪についての解説を行う白蓮。八雲の名を持ち、外界との行き来が可能な幻想郷の住民など限られてくる。

白蓮「蓮子さん、私達は真実に近づきつつあります。今までにない程に辛いことになるかもしれませんが、どうか心折れることないように。私はいつだって蓮子さんの味方なんですから」

意を決した白蓮は蓮子を背負いながら、帳の降りつつある夕暮れを一直線に飛翔した。一抹の疑問を抱きながら……。

白蓮「だけど一体どうして……?」



銀翼と妖怪寺∀CE XIに続く……

名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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