ゆっくり霊夢「さあ、もっと奥を探してみよう。ゴーゴー!」
頭にネメシスを乗せたゆっくり霊夢が先頭をきって廃墟をいざ進む。コンパクはネメシスの頭上をせわしなく飛び回る。そんな小さい子達を後ろから保護者のように様子を眺めているのが衣玖と朱理である。
ゆっくり霊夢「ネメシス、何か見つかった?」
ネメシス「ナンニモ」
コンパク「……(ふるふる)」
だが成果は芳しくない。診療所は酷く崩壊しており、恐らくは物資も壊れてしまったか、持ち出されてしまったかしているのだろう。衣玖さんのさらに後ろで縮こまりながら辺りを見回すダークヘリオスも何も見つけられないでいた。
ゆっくり霊夢「あっ!」
一番低い視点を持つゆっくり霊夢が救急箱を見つける。しかし重たい瓦礫に挟まっていて取り出すのは大変そうである。現にゆっくり霊夢が体当たりをして取り出そうとしているもののびくともしない。
ネメシス「ソレダト、ジブンガハサマル。イイコトオモイツイタ」
ゆっくりの体当たり程度ではビクともしない上に、仮に取り出せたとしても今度はゆっくり霊夢が瓦礫の下敷きになってしまう。ネメシスは石と板をコンパクに集めさせると、即席のシーソーを作り上げ、その片方を挟まっている瓦礫にあてがった。
朱理「てこの原理ね」
後は思い切り力点を踏みつければいい。その役割を担うのが……。
ゆっくり霊夢「てぇーい!」
大ジャンプをしたのちにシーソーを踏みつけるのは一番大きな体を持つゆっくり霊夢。彼女の踏みつけにより、わずかに瓦礫に隙間が生まれる。その一瞬を逃さないがコンパク。
コンパク「……!」
かくして救急箱の回収に成功。しかし一度浮かび上がった瓦礫は再び元の場所に戻ると、シーソーに乗ったままのゆっくり霊夢を逆に跳ね飛ばしてしまった。
ゆっくり霊夢「わひゃー!」
コンパク「(おろおろ)」
ポーンと空中に放り出されたゆっくり霊夢を受け止めようとネメシスが両手を上に広げてヨタヨタと追いかける。コンパクも加勢しようとするが、オロオロしてしまって出遅れている。
二人の努力空しく、ゆっくり霊夢が同僚達に受け止められることはなかった。だが、トスンと軽やかな音を立ててゆっくり霊夢は着地をしていた。そう、この場にいたのはもう一人。
朱理「……」
咄嗟に両手を差し出した朱理がゆっくり霊夢を受け止めていたのだ。
ゆっくり霊夢「ありがとう、朱理おねーちゃん!」
事なきを得て安堵の息を漏らすはリーダー的存在のネメシスである。
ネメシス「ンモウ、イキオイツケスギ。プフッ……」
大事に至らなかった安心感からか、ゆっくり霊夢が受け止められたときは逆さまだったからか、上海人形が噴き出す様に笑う。つられてこの饅頭の妖怪も逆さまのまま笑い転げた。声こそ発していないが恐らくコンパクも霊魂の姿のまま笑い転げている。
朱理「今のが楽しいの?」
困惑しながらゆっくり霊夢を降ろす朱理であるが、今もけげんな表情であった。
ゆっくり霊夢「うん! 私はね、元々は臆病でパッとしないゆっくりだったんだけど、ここで○○お兄さんに出会ってから色んなことがあって、色んな人に出会って随分と変われたんだよ。大変なこともあるし怖いことも多いけど、だけど楽しい!」
無垢な笑顔を浮かべる彼女からとっさに顔を逸らす朱理。それはまるでうっかり太陽を直接見てしまったかのような反応であった。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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