そして案の定というべきか、穴の開いた筈の腹が激しく燃え盛ると元の肉体を取り戻したクラウンピース。奴は何事もなかったかのように再び俺の目の前に立ちはだかる。今の攻撃など『ヘ』でもないと言わんばかりにニタニタと笑みをこぼしていた。

クラウンピース「へー、やっぱり強いのね。じゃあ準備運動は終わり!」

彼女が取り出したのはスペルカードであった。ここからが本番だ。空高く掲げた瞬間、彼女の全身から魔力がほとばしるような感覚を覚えた。

クラウンピース「獄符『ヘルエクリプス』!」

ビリビリと空気を伝ってその衝撃が銀翼のコクピットにまで響く。それがこの月が外の世界でおなじみの月とは全く違う場所であることをいやというほど知らしめている。衣玖さんが生身でいられることから周囲に大気が存在し、重力だって地球とさほど変わっていないことが分かるのだ。

衝撃と共にアールバイパーにゆっくりと近づいてきたのは大きな月。いや、月を模した巨大な弾なのだろう。だが、それ以上に脅威的なのはそれと共にやはり回転している赤い弾幕を放射状に放つ小さな球体。時折月に弾が阻まれる時を除けばまるで隙間がない。あそこまでびっしりと弾が放たれていてはレイディアントソードでは防ぎきれない。

だが、俺にはまだ弾幕を防ぐ手段がある。ネメシス達に魔力が戻ったことを確認すると、俺はオプションを切り離した。

貴方「ネメシス、操術『リモートバースト』だ」

ひっきりなしの弾幕を防ぐには……いや、ひっきりなしだからこそリモートバーストが有効と判断したのだ。他のオプション達を従えて俺から距離を取ったネメシスは、俺とクラウンピースを両断するように青白いバースト砲を放った。光の盾に赤い弾幕はみるみる阻まれていく。しかし……。

クラウンピース「さすがに実体を持つこっちの弾は防げないようね」

そう、ここであのまがい物の月が厄介になる。ネメシスから放たれたバースト砲を逆に遮ってしまうのである。こうなってしまうと無防備になり赤い弾幕に気をかけなくてはならなくなるのだ。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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