長期戦は不利と判断した俺は残った3つのオプションの魔力を銀翼本体に収束させる。

貴方「禁術『オーバーレイド・オーバーウェポン』」

圧倒的な火力を得るには3倍に重ね掛けしたオーバーウェポンでないといけないだろう。悔しいがここで戦うクラウンピースは確かに強力だ。

急速に血中の魔力濃度が高まり、俺の体は拒絶反応を起こす。だが俺は急激な吐き気に負けじと標的を睨み付けながら、レイディアントソードを機体前方に構える。

貴方「重銀符『サンダーソード』!」

ほとばしる電撃、激しく明暗する月面、そしてまがい物の月ごと最狂の妖精を貫く青い刃。決まった! 手ごたえもしっかり伝わってくる。直後、爆発四散する妖精の肉体。しかし……。

貴方「ぐわあああ!」

倒したはずのクラウンピースはいつの間にか復活しており、攻撃の手を緩めない。どういうことだ? あれだけの高威力の技をクリーンヒットさせたというのに相変わらず憎たらしい笑みを浮かべたままなのである。確かな手ごたえは感じたので外したとか回避されたということは考えられない。

クラウンピース「だから言ったでしょ? あたいの力を純化させてくれる『友人様』がすぐ傍にいるって。あたいは絶対に倒せないよ!」

一度ネメシスに戻るように指示を出すと赤い弾を隙間なく放射する小さな星から逃げるように距離を取る。妖精特有の「一回休み」のインターバルすら純化したことによって短くなっているのかもしれない。だとしたらいつまでもコイツの相手をしていても無駄であり、奴の言う「友人様」を叩いた方が早い。

そう思索を巡らせていると目の前に大きな月が迫ってきた。しまった、考え事に夢中で回避行動が疎かになっていた! ダメだ、かわしきれない……!

覚悟を決めて両目を閉じようとした俺であったが、意外な方向から救いの手が差し伸べられた。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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