口角がこれでもかとつり上げて、愉悦の表情を浮かべている。しかしそれはクラウンピースだけではなかった。

衣玖「自らの勝利を確信した時、そこに最も大きな隙が生まれる。空気の流れを変える契機が訪れるものですね」

俯いていた彼女は黒い帽子からわずかに目をのぞかせてアメリカンな妖精に目をやっている。だが、俺からは彼女の表情が見えていたのだ。そう、背後で「作戦」の下準備とやらに勤しんでいた衣玖さんもまたニヤリとしていたのである。

それだけ言い終わると衣玖さんはビシとクラウンピースを指さした。直後、まばゆい光が彼女を包む……いや、光は空から落ちてきた。数泊おいて轟音響く。見上げてよく見ると月が黒雲で覆われているではないか。これは落雷だ。

雷は高いもの、尖ったものに落ちる。そうか、奴が松明を掲げる癖を見ていた衣玖さんはこの瞬間をずっと待っていたのだ。

衣玖「幻想郷の月には大気がある、それはつまり私の能力で上空の気圧だけを低くし、雷雲を呼び寄せることも可能という意味でもあります。奇しくもこれだけ炎を燃え上がらせて大気の温度も急上昇とあれば、上昇気流も発生し、そして雷雲だって発生するでしょう」

最大で10億ボルトにも達すると言われている雷。それをモロに喰らった彼女はひとたまりもない。もちろん妖精の体で受け止められるはずもなく、黒焦げになって力なく落ちていく。

クラウンピース「だからぁ、無駄なんだって。いくら『一回休み』にしたって、『友人様』の傍にいるあたいはたちどころに……」

炎に包まれてまたしても不死鳥のごとくよみがえろうとするクラウンピース。あのままではまたたちどころに復活してしまい、戦況が振出しに戻ってしまう。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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