よく……私を止めてくれました。
あのままでは我らシーマが星を滅ぼすという最悪の事態に陥るところでした。
一度はクリオネの姿になった彼女であるが、コアの崩壊とともにその形はドロリと溶けだしていく。
○○、本当は貴方の使うアールバイパーの存在に私達は引き寄せられました。
宇宙の均衡を破る恐ろしい存在なのではないかと……。しかし杞憂に終わったようです。
貴方の心は清い。その技術をこれから悪用しない限りは人類の粛清は先延ばしにしましょう。
崩壊は加速度的に進んでいく。思わずサイバリオンが泣き叫ぶ。
ママッ、僕を一人にしないでよ!
ボウヤ、いえサイバリオン。貴方は決して一人ではありません。
素敵なお友達が沢山いるではありませんか。
我らシーマは不滅。私が再び体を取り戻すまで、お友達と仲良く、そしていい子にしているのですよ……。
ボロボロと光る涙をこぼすサイバリオンに寄り添うようにその額を衣玖さんが撫でた。
そう、永江衣玖というのですね。
ボウヤを、サイバリオンをよろしく頼みます……。
やだよっ、せっかくまた会えたのにすぐお別れだなんて!
ああ愛しい我が子よ。私だって別れは惜しいのです。
……そうだ、最期にギュって抱きしめましょう。
私が肉体を維持できている間に……こちらにいらっしゃいな。
既にほとんどの肉体が崩壊していたジ・エンブリオンであったが、両手を大きく広げたのは俺にもはっきりと分かった。そこに飛びつく黄金の龍。その長い体を全てのシーマの母は優しく抱き留めた。そして次の瞬間、コアは完全に砕かれて、その肉体も完全に月の海に溶けだしてしまった。
そして涙の咆哮。悲しげなサイバリオンの声に誰も言葉をかけることはできなかった……。
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